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■1シリーズ佐賀県知事選挙を振り返る(1) - はじめに[政治][選挙][佐賀県知事選挙] このエントリーをはてなブックマークに追加

元旦の公明新聞の「主張」には、ジェームズ・ブライスの言葉を引いて、 「地方自治は民主主義の学校である」とありました。 一方で、「図書館は民主主義の武器庫である」とも言われます。
図書館に関しては、私は樋渡氏を、 公共図書館を商業施設に作り替えた市長 だと評価しています。


先日(平成27年1月11日)に投開票が行われた佐賀県知事選挙においては、 山口祥義氏が樋渡啓祐氏を破り、政権与党である自民党が、本部から次々と大物を送り込み、自動電話作戦を行うという選挙において、 佐賀県民は「県民党」の山口氏を選んだという結果が出ています。
マスコミによる報道では、今回の選挙の争点を、農協改革を進めようとする政府・自民党とJA全中の争いとした論調が多いようですが、 今回の選挙を考える上で、候補者自身が有権者にどう評価されたのかという観点を置き去りにすることはできないと思います。
安倍首相が「自信と誇りを持って推薦する」[http://www.saga-s.co.jp/senkyo/governor/30301/139950] とした樋渡氏ですが、 甘利明経済再生・TPP担当相は、選挙後に 「政策は支持されたが、候補者が支持されなかった」[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501%2F2015011200147] としている様に、その評価は政府・自民党の中でも一貫したものでは無かった様です。
私自身は、樋渡氏の市政は決して評価できるものでは無かったと考え、 この選挙戦においても知事とされるべきでは無いと考えて、その様な主張を展開してきましたので、 選挙の結果が、今回の様になったことには一安心をしています。
ただ、樋渡氏による市政が残した負の遺産の検証と整理はまだこれからで、 むしろ今ようやくその端緒が開かれたと言っても良いと思います。
樋渡市政の問題を追及するという仕事は、まだまだ残っていますが、 ここで、今回の選挙戦についての振り返りをしておきたいと思いました。


今回の佐賀県知事選挙。佐賀新聞の記事では、匿名の記者B氏が、

B 陣営の動きとは別に、ネット上では特定候補者に対する「落選運動」もすさまじかった。陣営のネット活用にも言えることだが、これらがどれだけ県内の有権者に影響したかを把握するのは難しい。

としていますが、確かに、ネットでも樋渡氏に対する批判 *1 が繰り広げられ、私自身も選挙を意識した批判を展開してきました。
これを、「インターネット選挙運動」いわゆる「ネット選挙」の動きの一つと捉えて、 ネット発の「動員の革命」が選挙を動かした事例かと言えば、それは違う という感想を、私自身は持っています。
また、 ネガティブキャンペーンが選挙を動かすかと言えば、それは違う と思っています。


今回の選挙を振り返りますと、激戦となった山口氏と樋渡氏の当落には、各候補者が主張した政策以外に、候補者自身に対する評価が大きく影響を与えたと考えています。
佐賀新聞の 佐賀県知事選立候補者50問アンケート[http://www.saga-s.co.jp/election/2014/chizisen-questionnaire.html] を参照頂きたいのですが、このアンケートにおける山口氏と樋渡氏の回答には、はっきりと違うという感触は持ちにくいと思います。
マスコミ報道で焦点として取り上げられる農協改革に関わる「JA全中は一般社団法人化すべきか」という問いに対しては、両候補とも「△」と同じ回答をしています。

農協改革を進めようとする政府・自民党と農協の戦いという論旨に違和感を感じる根拠をもう一つ挙げます。
山口氏出馬までの経緯を振り返りますと、昨年11月末に、TPP国内調整担当総括官の佐々木氏が、自民党国会議員の一部や農協幹部らから立候補要請を受けて立候補しようとしたものの断念した。という経緯があります。

佐々木氏は同県伊万里市出身。佐賀県の自民党国会議員の一部や農協幹部らから立候補要請を受け、同市支部を通じて11月29日、党県連に推薦願を提出していた。しかし、甘利明TPP担当相は同28日の閣議後の記者会見で「TPPの国内調整の最高責任者で、そばに置いておかなければならない存在」と強調、慰留する考えを示していた。

「農協改革に対する農協の反発」という見立ては、TPPを推進してきた立場の佐々木氏への立候補要請を説明できない 様に思います。


つまり、農政協幹部の発言にある通り、そもそもこの選挙戦は、農協にとっては、 「的外れだ。自民推薦だからけんかするんじゃない。樋渡が知事になれば農協と県の関係は崩れる。だからやるんだ」 という選挙戦だったことになります。
この選挙を、 樋渡氏自身の政治手法やこれまでの市政と切り離して論じることには無理がある と考えます。

「的外れだ。自民推薦だからけんかするんじゃない。樋渡が知事になれば農協と県の関係は崩れる。だからやるんだ」

山口推薦を決めた12月19日、農政協幹部は「行政と農協は一体になって農政を進めているが、武雄市とは関係が薄かった。レモングラス栽培をはじめ、すべてがパフォーマンス」と自民の樋渡推薦に同調しない理由を語った。

一方、候補者自身に対する評価としては、武雄市長を務め「抜群の知名度」とされた樋渡氏に対し、県内での知名度がほとんど無い状態から、告示直前の立候補で選挙に挑むことになった山口氏と言う状況がありました。


こういった中、武雄市での樋渡氏の市政を見て来た人たちは、樋渡市政の問題点を有権者に知ってもらおうという行動を起こしていくことになります。
今回の県知事選挙に特化して立ち上げられた、 あなたは樋渡啓祐を佐賀県知事に選びますか?[https://nomore-hiwatashi.com/] がその代表的な存在ですが、この問題を追ってきた方々、銘々にTwitterでの情報発信を行ったり、 ブログ記事を書いたり、過去に書いたブログをこの機会に再度発信したりと、各々様々な方法で、 これまで集めてきた、市政に関わる樋渡氏の情報を、県民に届けるべく行動を起こしました。


ウィキペデイア[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%81%B8%E6%8C%99%E9%81%8B%E5%8B%95] には、 投票において、ネット上の情報を参考にする人は10%程度 という指摘が引かれています。
しかし、今回の選挙戦の日程では、正月や成人式を含み、様々な世代の方が集まる機会がありました。 そこで、ネットでの情報を周囲の人。特に他の世代の人に伝えてくれるのでは無いかと言う期待がありました。
樋渡氏のやり方に問題があることを知っていて、それを他の人に説明するためのツールとして、 あなたは樋渡啓祐を佐賀県知事に選びますか?[https://nomore-hiwatashi.com/] は、相当の力を発揮したのではないかと思っています。


一方、 ネットでのネガティブキャンペーンが、特定の候補を落選させるための有力な手段になり得るのかどうかについては、私は否定的です。 ネットで調べて投票しようとする人は、その情報の信憑性を考えるでしょう。根拠のないイメージでは受け入れられないでしょうし、投票に影響を与えないでしょう。
しかし、その情報が正しいものであると確認され、信頼された場合には、ネットでの拡散力も上がるでしょうし、ネットだけでは無く他人にも話すでしょう。
正月をはさんで、様々な集まりがある中で、選挙が話題に上がり、各候補者について知っていることを各々に話す…選挙の話をする位の間柄ですから、親密な間柄です。
この中で、ネットで情報を得た方が、樋渡氏の過去の市政や発言について語ってくれる。 親密な間柄での会話なので、話す人がしっかりした根拠のある情報を得ていれば、うわさ話ではなく、信用されて伝わっていく。 理想的には、そういう状況を期待して、うわさ話や根拠のない悪口では無く、徹底して事実を積み上げてきました。
徹底して事実を積み上げた上での簡潔な批判こそ、ネットで調べて投票しようという人に受け入れられ、そしてその周囲の人にまで拡散されていく情報になる のだと思います。


今回の佐賀県知事選挙に絡んで、本当に様々な方が様々な形で、樋渡氏の過去の市政や姿勢に対する批判を展開したのは事実だと思いますが、 ネットが選挙を動かしたというよりも、有権者が他の有権者に説明するための情報を提供したのだと思っています。
その結果、樋渡氏が有権者に支持されずに落選したのであれば、その選択に貢献できたのであれば、 そのことを嬉しくは思いますが、私自身は、実は勝ったという感想は持っていません *2
最初に書きました通り、樋渡市政の追及はまだこれからです。


今回の選挙において、TwitterやFacebookでは、樋渡氏の批判よりもむしろ正統的なネット選挙運動の方が数の上では目立っていたのではないでしょうか。
もし、この選挙でネットが何らかの影響を与えたとするならば、ネットの拡散力よりもむしろ、ネットが持つアーカイブ機能の方が影響を与えたのではないかと思っています。
そして、地域におけるアーカイブとしての役割こそ、地域の公共図書館の大切な役割であり、その力こそ図書館を「民主主義の武器庫」たらしめているのだと思います。
郷土の資料を破棄[https://www.nantoka.com/~kei/diary/?20140421S1] し、公共図書館を商業施設に作り替えた樋渡氏は、図書館から切り捨てたものの持つ力に気付かなかったのかも知れません。


シリーズ佐賀県知事選挙を振り返る(2) - 告示前[https://www.nantoka.com/~kei/diary/?20150114S1]

*1: 改正公職選挙法では、特定の候補者の当選を図ることを目的とせず、単に特定の候補者(必ずしも1人の場合に限られない)の落選のみを図る活動を「当選を得させないための活動(落選運動)」としていますが、そもそも、「一般的な論評に過ぎないと認められる行為は、選挙運動及び落選運動のいずれにも当たらない」という前提がありますので、ネット上の批判は必ずしも落選運動ではありません。
*2: tweet[https://twitter.com/keikuma/status/554977025018966016] しましたけれど、モンスターに出会って、こっちの戦闘力はみんな弱くて、みんなろくな武器は持っていなかったけれど、手あたり次第に色々投げたら、何かコンボが決まった様なそんな感触です。

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Bio:前田勝之(まえだかつゆき)。長崎在住。コンサル、SE、プログラマー、 なんとか株式会社代表、非常勤講師(情報セキュリティ)。 セキュアド、テクニカルエンジニア(SV,NW)。サーバ管理とWeb日記を10年ほど。 ネットとリアルの接点に関心あり。食べること・歌うこと・愛すること・作ること・飲むこと。おいしいものがぜんぶすき。

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