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■1 武雄市長他3名を虚偽有印公文書作成及び同行使の疑いで刑事告発[https://todotan.com/blog/?p=8805][武雄市] このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、確定日付について調べていて、「公証人は公文書には確定日付を付することができない」ということを知りました。
官公署又は官公吏がその権限に基づき作成する文書は、その日付が確定日付となりますので、公証人は確定日付を付することはできません。
例えば、不動産登記簿謄本は、公務員である登記官がその権限に基づいて作成するものですから、その謄本に記載された作成日付が確定日付となり、公証人はこれに確定日付を付することはできません。
民法施行法[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M31/M31HO011.html] によれば、第四条に「証書ハ確定日附アルニ非サレハ第三者ニ対シ其作成ノ日ニ付キ完全ナル証拠力ヲ有セス」とあり、一般人が作成した文書の日付には第三者に対する証拠力を認められていないのに対し、第五条五「官庁又ハ公署ニ於テ私署証書ニ或事項ヲ記入シ之ニ日付ヲ記載シタルトキハ其日付ヲ以テ其証書ノ確定日付トス」とある通り、官公庁が作成した文書の日付は、確定日付となるとされており、 公文書の日付には絶大な信用力が与えられている ことが分かります。

ところが、その公文書に対する世の中の信頼を揺るがすような問題が、樋渡市政下の武雄市では度々発生しています。文書の作成日付の改ざんです。
以前にも、情報開示請求に関連して、日付の改ざんが疑われる様な事件がありました。 この時は、事務上のミスを隠すためのものでは無かったかと言うことが言われましたが、いずれにしても、公文書の改ざんは、行政に対する信頼を損なう結果につながることは間違いありません。

一方、 今回の告発[https://todotan.com/blog/?p=8805] は、予め文書を用意しておいて、キリが良いから4月1日にした等と言うものとは決定的に異なる点があります。
バックデートが行われていて、 締切後に作成されていて効力が無かった文書 を、改ざんをすることによって、 期限内に作成され、効力があるものだとする改ざん を行っていると考えられますから、これらの改ざんが事実であれば、日付の改ざんとは言え、 事実関係を左右する改ざん があったと言うことになります。

文書偽造罪の保護法益は、文書に対する公共の信用です。「誰も損していない」等と言う話ではなく、公文書の偽造が安易に行われる様な状況があれば、まさに冒頭に示したような、 公文書に対する非常に大きい社会的信用が毀損される ことにつながり、例えば公文書日付が確定日付として信用される…と言った、社会全体の仕組みに影響を与えるものです。
公文書に対する社会的信用がこれ以上に損なわれることが無い様、当局には厳正な捜査を希望します。

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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(26) - 武雄市図書館・歴史資料館の改修にあたって廃棄された蔵書・視聴覚資料の一覧[http://www.nantoka.com/~kei/TakeoReferences/%e4%bd%90%e8%b3%80%e7%9c%8c%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%e3%81%ae%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%ef%bc%9atakeoproblem/%5b%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%5d%20H26-02-28%20%e6%ad%a6%e5%b8%82%e6%95%99%e6%96%87%e7%94%9f%e7%ac%ac157%e5%8f%b7%20%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%e5%9b%b3%e6%9b%b8%e9%a4%a8%e3%83%bb%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e8%b3%87%e6%96%99%e9%a4%a8%e3%81%ae%e6%94%b9%e4%bf%ae%e3%81%ab%e3%81%82%e3%81%9f%e3%81%a3%e3%81%a6%e5%bb%83%e6%a3%84%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%9f%e8%94%b5%e6%9b%b8%e3%83%bb%e8%a6%96%e8%81%b4%e8%a6%9a%e8%b3%87%e6%96%99%e3%81%ae%e4%b8%80%e8%a6%a7.pdf][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

ある方の開示請求によって、 武雄市図書館・歴史資料館の改修にあたって廃棄された蔵書・視聴覚資料の一覧[http://www.nantoka.com/~kei/TakeoReferences/%e4%bd%90%e8%b3%80%e7%9c%8c%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%e3%81%ae%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%ef%bc%9atakeoproblem/%5b%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%5d%20H26-02-28%20%e6%ad%a6%e5%b8%82%e6%95%99%e6%96%87%e7%94%9f%e7%ac%ac157%e5%8f%b7%20%e6%ad%a6%e9%9b%84%e5%b8%82%e5%9b%b3%e6%9b%b8%e9%a4%a8%e3%83%bb%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e8%b3%87%e6%96%99%e9%a4%a8%e3%81%ae%e6%94%b9%e4%bf%ae%e3%81%ab%e3%81%82%e3%81%9f%e3%81%a3%e3%81%a6%e5%bb%83%e6%a3%84%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%9f%e8%94%b5%e6%9b%b8%e3%83%bb%e8%a6%96%e8%81%b4%e8%a6%9a%e8%b3%87%e6%96%99%e3%81%ae%e4%b8%80%e8%a6%a7.pdf] が明らかになりました。
内容については細かく見て頂くとして、私がざっと見て、除籍していることを疑問に感じたものがいくつかあります。
  • CD・DVD資料の相当数(恐らく大部分)
  • 新聞縮刷版等のリファレンス資料、長編の歴史物など現在でも需要がありそうな書籍
  • 雑誌資料
順に見ていきます。
まず、ビデオテープは措くとしても、CDとDVD(p120-)。今でも需要があるものが随分あるでしょう。ジョージ・ウインストンは捨てるほど古くもないでしょうし、映画音楽集、効果音集、落語等は安定して需要があるはずです。
DVDについては、ナショナルジオグラフィックのコレクションを丸ごと廃棄していますし、「硫黄島からの手紙」「最高の人生の見つけ方」あたり、今でも需要があるでしょう。事実、いずれも「蔦屋書店 武雄市図書館」ではレンタルをしています。有償で。
ハリー・ポッターシリーズや、2008年の「地球が静止する日」等、割合最近の映画も処分されていますが、TSUTAYAの有料レンタルと競合するから処分したのではないかと疑ってしまうところです。

新聞縮刷版については、以前に、 と、書きました。利用するためではなく、飾りにされてしまっているのです。
そして、 棚にきれいに並ばなかった分を捨ててしまったのでは無いか という疑いを持ちました。ダミー本を入れるくらいですから、棚自体のスペースはあるのです。ただ、 飾りとして並べるのに中途半端だったから捨てたということであれば許されることではありません。

p.21-の地名は、恐らく国土地理院の地形図だと思います。以前は九州全域を所蔵していた様ですね。ネットで閲覧できるにしても、スケールを持って全体を眺めるのには不便です。 地図用の什器を用意していなかったから捨てた等と言うことでは困ります。

一般の書籍については、全体の蔵書構成を把握していないので判断することが難しいですが、リストを見た印象では、館内利用されていそうな長編の歴史小説等、貸出状況だけを見て処分されたのではないかと心配になるものがあります。
どの程度その資料が利用される可能性があるかを見るのはやや難しく、貸出履歴では主に館内で利用されている資料を判断することができません。禁帯出資料は明白にそうですし、特に高齢の方に多い印象がありますが、図書館から借り出さず、何日も通って読み続けられる方もおられます。
うがった見方をすれば、その様にして 図書館に通い詰めて本を読む利用者は、新しくなる図書館にはふさわしくないという判断で除籍がなされたのかも知れません。

まだ、一般書籍に関しては、これまで所蔵に余裕があって、除籍を積極的に行ってきていなかったものを、この機会に整理したというのであれば、冊数としては理解ができるという判断もできるかも知れません。
しかし、 雑誌については、これを除籍してしまって良かったのかと言うものがいくつも見られます。
「歴史九州」「日本歴史」「短歌」「コスモス」「みを」あたりを除籍しています(p.58-)。「みを」は佐賀県の郷土文化誌です。「観光客を誘致」と言いながら、「温泉」「温泉博士」も除籍しています。
「温泉」「温泉博士」「コスモス」「みを」は、県立にも所蔵がない資料です *1この様な郷土資料を残さないで、「雑誌はTSUTAYAで立ち読みすれば良い」というアーカイブを放棄した施設は、図書館を名乗る資格が無い と思います。

新刊は「後で買う」ということはできるかも知れませんが、購入して年数が経った資料は、もはや市場で手に入らなくなっているかも知れません。郷土資料に至っては、古書市場でも完全なコレクションが手に入らない様な状況になっていたりします。

その様な事情があって、除籍する資料を他に引き取る館が無いかという調整を、例えば長崎県立は行っているそうですし、他の自治体にもそういうネットワークがあるのではないでしょうか。武雄市図書館での除籍の際には、その様な配慮がなされたのでしょうか。

いずれにしても、この除籍リストには様々な疑問があります。どの様な基準で誰が除籍を決定したのか追及して行きたいと思いますし、仮にCCCの判断でこれらの除籍を行ったのであれば、 「図書館なんてものはない、本のレンタル屋だ」[http://slashdot.jp/story/13/09/04/034237/CCC%E7%A4%BE%E9%95%B7%E6%9B%B0%E3%81%8F%E3%80%81CCC%E3%81%AE%E9%81%8B%E5%96%B6%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E5%B1%8B%E3%80%8D] との発言通りの認識で、 図書館でないものを「図書館」と称して指定管理料を受け取っている ということになります。
図書館は「文化を便利に消費する施設」ではありません。文化を育てる使命を担っています。この様な事業者に公共図書館を委ねることができるのか、問い直す必要を感じます。
(この日記は、2014年4月20、21日のTweetを再構成したものです。)

追記(4月23日):

ツイートの再構成の記事で、思いがけなく多くの方から反響頂きました。再構成だけでは申し訳ありませんので、日記オリジナルの書き下ろしで追記します。
一般書籍に関しては、これまで所蔵に余裕があって、除籍を積極的に行ってきていなかったものを、この機会に整理したというのであれば、冊数としては理解ができる
と書きました。図書館には一部の例外を除いて *2 所蔵の限界がありますから、いつかは受入点数に近い資料を除籍して行かなければならなくなります。
逆に、蔵書数と収蔵能力の余裕に対して、除籍が極端に少ない図書館は、受入点数が少ないだけかも知れません。この様なことから、 除籍の点数だけでこの問題を議論することはできません
以前の武雄市図書館では、できてからの年数も浅いですから、閉架に所蔵し続けて、積極的な除籍をやって来なかったので、除籍しても良い本がたくさんたまっていたという解釈もできると思ったわけです。
ただ、その解釈で考えますと、 武雄市図書館訪問メモ(1)法律書の同一タイトル版違い(千代田ネタ付)[http://lomax.cocolog-nifty.com/apprentice/2013/11/1-0055.html] で指摘されている様に、(見た目では無く)内容が古くなって、一般には利用されるべきではない本がそのままあることが理解できません。
改正前の内容で書かれた法律書だということに気付かないで調べ物をしていると、結論が大きく変わってしまうことがあります。医学・医療関係はもっと結果が重大です。せっかく図書館で調べようと思ったのに、古い情報を新しいものだと思って判断して、受けられる治療が受けられなくなってしまうこともあるでしょう。
「全開架」を押し出す図書館だからこそ、除籍にも十分な検討が必要だったと考えますが、今回の除籍リストと、現在の蔵書や排架からは、この様な検討が十分になされたとは思えない のです。

DVDについて。図書館で貸出に利用されているDVDは、一般に販売されているDVDとは異なり、図書館で貸し出すための権利が付与されています。この 貸与権が含まれているため、図書館のDVDは一般に販売されているものよりも高額 になります。
例えば、 株式会社 M.M.C. 図書館事業部[http://mmc-toshokan.jp/] のページで、その価格を見ることができますが、「真夏の方程式」のDVD。 Amazonでの販売価格は3,036円ですが、図書館で貸し出し可能な権利処理がされているものは、16,000円 です。
「真夏の方程式」図書館向け
もちろんこれほど高額ではないものもあると思いますが、図書館での上映も可能な上映権が付与されているものがあればより高額だったかも知れません。
この様に、 図書館での貸出のための権利を得た高価な映像資料を、ビデオ・DVD合わせて2,000点近くも破棄してしまった訳ですが、これはもちろん市民の共有財産です。 TSUTAYAで*有料で*借りることができる様になるからと言って、破棄してしまうのはとても奇異に感じられます

最後にもちろん郷土資料の話です。
武雄市図書館の公共図書館分担保存受け持ち雑誌と所感[http://fmht7.hateblo.jp/entry/20120818/1345257591] に、 以前の武雄市図書館・歴史資料館の雑誌一覧[http://megalodon.jp/2013-0320-2030-56/www.epochal.city.takeo.lg.jp/lib_his/sinbun-zasshi-itiran/zasshi-itiran-janru.html] が掲載されています。
これを見ていきますと、郷土文芸誌が寄贈によって受け入れられ、永年保存されてきていたことが分かります。
なかには、部分しか所蔵していないものがあり、これは推測ですが、地元の方がお手元で大事に所蔵してきたものを何らかの機会に受け入れたものでは無いでしょうか。例えば、お年を召された方が、自分の手元に置いておいたのではいずれ散逸してしまいそうだから、図書館で保存してもらおうと思って寄贈…そういったストーリーが想像されます。
もちろん図書館では、その館の資料収集方針に従ってその対応を判断する訳ですが、郷土資料であって入手が困難なものということで受け入れて、永年保存することにしたのだと思いますし、これは多くの公共図書館で同じ様な対応となるでしょう。しかし、それを破棄してしまった訳です。
これは、公共図書館に対する信頼を裏切る行為だと思います。
その中でも、
「みを」は、県立にも所蔵がない資料
と書きました。 今回、創刊号から保存されていたこの雑誌は破棄されてしまったのですが、この資料は県立だけでなく、国立国会図書館すら所蔵していない資料です *3こういう資料を破棄し、郷土の文化をないがしろにする姿勢には、もはや憤りを表現する言葉を持たないです。

今回の記事の皆様の反応を見て、図書館がどれだけ多様なニーズに対応することを求められているか、改めて認識しました。 新しい本を読みたいだけの人ばかりではないことも、人それぞれ求めるものは違い、だからこそ実現が難しいのですが、アーカイブの重要性が理解されていることも分かって嬉しく思いました。 という樋渡市長の主張は、やはり公共図書館の「公共」の部分を捨ててしまっているものだと思います。
様々なニーズを公共と言うバランスの中で満たす。確かに、見かけではエッジの効いたものにはならないかも知れません。 表面しか見ない人には、どの図書館も同じ様に見えるかも知れません。
しかし、中身を深く見ていけば、同じ様な図書館と言うのはどこにもないものだと思います。 地域ごとに違った文化があります。利用者一人一人は異なった利用目的を持っています。
この違いに対応していくことは、公共図書館の前提だと思います。 そして、ターゲットとなる客層を設定して、その客層向けに商売をする商業施設とは全く異なる部分だと思います。
利用者を館にあわせる、 「ちょっと背伸びしたライフスタイルを提案」[https://twitter.com/keikuma/status/395901778039808000] という発想は、商業施設の発想であって、公共図書館の発想ではありません。
あくまで、利用者が主体のはずだと思います。
武雄市図書館とそれにまつわる今回の様な問題をみる度に「この施設は一体、誰のための施設なのだろう」と考えさせられます。
*1: 頂いた情報で「みを」は「澪」の名前で県立に合本が所蔵されていることが分かりました(2014年4月24日追記)。
*2: 全ての資料を保存する国立国会図書館や、新館を作る計画があって所蔵能力が大幅に増える予定がある場合は例外となると思います。
*3: 鹿島市立図書館が所蔵しています。なお、寄贈で11〜100号を所蔵していた「芽子の会 競詠」については、NDLも県立も、横断検索内の他の図書館も所蔵していません。国立国会図書館サーチにもCiNiiにも載っていない、本当に地域だけの資料です。この責任を認識していると良いのですが。
頂いた情報で「みを」は「澪」の名前で県立に合本が所蔵されていることが分かりました(2014年4月24日追記)。NDLも確認しましたが、NDLにはやはり所蔵されていません。

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2014年04月25日(金)<< 前の日記 | 次の日記 >>
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■1小学校の授業を参観してきました[武雄市][教育][たけお問題] このエントリーをはてなブックマークに追加

武雄市の「花まる学園」問題について、平成26年4月17日現在での武雄市長・樋渡啓祐氏は「一斉授業」を以下の様に否定し、「だから、民間と組むのだ」という主張を展開していました。
記者会見で、武雄市の樋渡啓祐市長は「 一斉授業の現在の公教育ではグローバル社会で戦える人材は作れない 。 魅力的な『飯が食える大人』を作るために、公教育の優れたシステムに民間のノウハウを大胆に取り入れ、子どもたちがワクワクドキドキで楽しく学べる新しい公教育を作りたい」と述べました。
「国・行政のあり方に関する懇談会」[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kataro_miraiJPN/index.html] での 藤原和博氏の説明資料[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kataro_miraiJPN/dai3/siryou3.pdf] を見ても、
一斉授業の限界(同じ内容を同じ先生が同じスピードでやる授業は理解が遅い子にはもはや虐待に近い。逆にできる子はお客さんになってしまう傾向が強い)
と、一斉授業は厳しく批判されています。
しかし、現実に今の小学校では「一斉授業」が行われています。実際に私たちも、一斉授業で育ってきたはずですが、この数十年で、 一斉授業は虐待に近い とまで言われるほど、現場の状況は変わっているのでしょうか。 この様な疑問を持ち、機会を得て小学校の授業を参観してきました。 ここでは、その素朴な感想を書いてみます。

1年生から5年生までの、いくつかの科目の授業を見てきたのですが、やはり現場を見てくるのは良いことで、気づかされたことがいくつもありました。
「一斉授業」という言葉からは、先生が一方的にみんなに同じ話をするという様な印象を受けます。しかし、これは違うという事。「先生→みんな」ではなく、「先生→一人一人」だと思います。 教壇に立つ際に指導者は、「みんなに話している」ではなく「私に話している」と思ってもらえることを目指します。しかし、自分自身の経験からですが、これは本当に難しいのです。
その難しいことを実現しているのが、ひとつには学校の先生方の指導技術だと思います。全員が授業に参加しているという状況を作るのは、本当に難しい、ですが、これが実現されているのが、現在の学校教育の現場だと思います。

「ひとつには」と書きました。他にも一斉授業を成り立たせているものがあって、これが「学級全体の学びあいの姿勢」だと思います。
例えば、音読であれば、他の子が読んでいる時も注意して聞いて黙読で追いかける。発表であれば、他の子どもに分かってもらえる様に発表し、他の子どもの考えを理解する…こういった、学びあいの姿勢こそ、学校の授業だけでなく、社会に出ても必要とされる素養につながっていくのではないでしょうか。

以上、素朴な観察ではありますけれど、塾での個別指導ではなく、学校での一斉授業だからこそ培われるものがあって、それを頭ごなしに否定して、ビデオ教材での反転授業や、塾のやり方を取り入れることにも、やはり問題があるという感想を持ちました。
「ひらけーごま」と大声をあげたり *1 、「一知半解!」と四字熟語を大きな声で読み上げたりすることも *2 、もしかすると大切なことなのかも知れませんが、みんなで学びあうという姿勢を培う事はもっと大切なことの様に私には思えます。
タブレットで好きな時間に授業が見られるというのは確かにお手軽ですが、みんなで一緒に授業を受けるという時間の中で育まれることがあるのではないでしょうか。

私自身は、教育の専門家でもなんでもありません。バックグラウンドがありませんので、どうしても考察や表現が情緒的になります。しかし、「ビデオなら教員免許は不要」 *3 という発言や、「教員免許は不要」 *4 として集められた講師に、学校の先生を「指導」させるという武雄市の計画は、現場の先生のこれまでの経験や実践を軽視したものに感じられてなりません。

教育に携わって来られた方のご意見をお聞きしたいところです。
*1: TBS News i 官民一体型小学校創設へ、塾のノウハウ導入, 2014-04-17
*2: NHKニュース7 “官民一体の授業”どう変わる, 2014-04-17
*3: 藤原和博氏, 義務教育界最大の問題とその解決法について, 2013年12月10日
*4: 株式会社こうゆう(花まる学習会・スクールFC) 学習塾の運営及び講師職募集[http://doda.jp/z/job/3000474465/index.html]

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■1理化学研究所への情報公開請求に対する開示決定等の期限の延長の通知[理化学研究所] このエントリーをはてなブックマークに追加

平成26年3月20日付で行っていた、理化学研究所への情報公開請求に対する、開示決定等の期限の延長の通知を受け取りました。

請求内容は、
報道対応資料については、

  • 2014年1月29日「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見」の発表およびその後の報道対応に関する全て(発表、会見及びその後の取材対応に関わる経費の支出がある場合はその資料を含む)の資料
入札公告については、
  • 平成23年02月08日入札公告「幹細胞研究開発棟3階ユニット研究室用什器」
  • 平成23年02月16日入札公告「幹細胞研究開発棟2Fセミナー室等什器類」
  • 平成23年02月25日入札公告「幹細胞研究開発棟2階交流スペース・ディスカッションルーム2用什器」
  • 平成23年03月04日入札公告「幹細胞研究開発棟2階交流スペース及び居室用什器」
  • 平成25年08月06日入札公告「発生・再生研究棟A棟4階S406-7室改修工事」
  • 平成25年10月15日入札公告「細胞リプログラミング研究ユニットに係る実験台等」
  • 平成25年10月31日入札公告「細胞リプログラミング研究ユニットに係る什器」

の調達に関する全ての資料を求めるものでした。
延長の理由ですが、報道資料に関しては、

3 延長の理由
○開示請求に係る法人文書中に、法第5条各号に該当する不開示情報が含まれる可能性があり、審査に時間を要するため。

とするものであり、入札公告に関しては、

3 延長の理由
○開示請求に係る法人文書が大量になることが想定されるため。
○開示請求に係る法人文書中に、法第5条各号に該当する不開示情報が含まれる可能性があり、審査に時間を要するため。

と、されていました。ここで「法第5条各号」を見ておきますと。

(法人文書の開示義務)
第五条  独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。
一  個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
(略)
二  法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 独立行政法人等の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
三  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
四  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
ロ 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
ハ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ホ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ヘ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ト 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

ということになっています。
報道発表についてはまだしも、公開の入札が行われた案件について、公開することにより上記の「おそれ」が生じる可能性があるとされていることについては、なぜその様なことになったかについて、大いに関心を寄せるところです。
なお、この「おそれ」については、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求されるとするのが各省庁での審査基準になっていますから、仮に不開示や部分開示とされた場合、上記のどの理由で「法的保護に値する蓋然性」があると判断されたのかにも関心を持っています。

情報公開請求制度は、「国民主権の理念にのっとり、法人文書の開示を請求する権利及び独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供につき定めること等により、独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り、もって独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的」として整備された制度です。
この制度があって、一方でこれを積極的に活用して、広く伝える役割を果たす市民がいてこそ、制度が生きるのだと考えています。
今後も、進展があり次第、続報していきたいと思います。

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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(27) - 【佐賀新聞】書籍・DVDなど大量廃棄 武雄市図書館新装時に[http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2671722.article.html][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

先日の 記事[https://www.nantoka.com/~kei/diary/?20140421S1] については、多くの反響を頂きましたが、 ハフィントンポスト[http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/24/takeoshi_n_5203682.html] の記事を参考にして書かれたのか、 本日、4月29日付の佐賀新聞に、 書籍・DVDなど大量廃棄 武雄市図書館新装時に[http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2671722.article.html] という記事が掲載されました。
紙面を見ますと、「『ツタヤに配慮?』市は否定」とのキャプションも入っています。

市にとって都合が悪い情報であるにも関わらず、読者に事実を伝えるために記事を掲載したことに関しては、勇気を称えたいところですが、せっかくの紙媒体での報道にも関わらず、独自に取材して書けていない *1 点については残念に思います。

武雄市図書館・歴史資料館が昨年4月、レンタル大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に運営委託して新装オープンする際、書籍や視聴覚資料計8760点を除籍、廃棄処分していたことが 28日、分かった
新聞記事では良くある表現なのですが、「28日、分かった」のは、佐賀新聞の記者が分かったということだと思います。
情報公開請求によって開示された文書が、 佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem[https://sites.google.com/site/takeoproblem/library/disclosure-document] に公開されたのが4月17日。私が 先の記事[https://www.nantoka.com/~kei/diary/?20140421S1] を公開したのが4月21日付。 ハフィントンポストの記事[http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/24/takeoshi_n_5203682.html] が4月25日に出ていますから、この後、佐賀新聞の記者がこのことを知って、市当局に確認したのが、昨日28日ということでしょう。
ということで、恐らく、市教委に対しての取材は28日に行ったとみることができると思います。

ネットなどで「TSUTAYA側への便宜があったのでは」と疑問の声が上がっている。
この部分は残念に感じるところです。 もし「ネットなどで…疑問の声が上がっている」という情報を、 自らネットで検索して得たのであれば、郷土資料の廃棄に対する疑問の声がさらに大きいことに気付いたはずです。 このことに触れていないのは、記事中に参照元さえ記していない、 ハフィントンポストの見出しだけを見て記事を書いたか、郷土資料の破棄という深刻な問題を隠したかったという意図があった かのいずれかではないかと想像されます。いずれにしても、残念に感じます。

廃棄DVDはハリーポッターシリーズ、「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」といった宮崎駿監督作品、「タイタニック」「羊たちの沈黙」など有償でレンタルできる人気作品も含まれていた。1枚4千〜1万5千円で購入したが、
と、ここまでは頑張って書いたと評価します。記事には「問題だ」と書かなくとも、読者が「問題だ」と感じれば良いのです。
古いものが多く、画像が止まったり、飛んだり、傷がひどいなど劣化が進んでいた という。
ここは「という」という表現で、当局の発表をそのまま書いています。
古いものとはいえ、プレスされたCDやDVDです。レンタルには現役で並んでいる訳ですから、廃棄されるほどの劣化が果たしてあったでしょうか。図書館を対象にした研磨サービスもあります。 本当に劣化だけが問題なのであれば、休館期間を活用して研磨することを考える必要は無かったのでしょうか。また、この市教委の主張については矛盾点があります *2 。 ぜひ追加取材を期待したいところです。
「大規模な蔵書点検は、リニューアルの時にしかできないため、約12年分を一括して除籍資料を選んだ。資料価値の高いものや 郷土資料は基本的に廃棄していないと話している
「郷土資料は基本的に破棄していない」としていますが、 前回の記事[https://www.nantoka.com/~kei/diary/?20140421S1] で挙げた 郷土文芸誌は郷土資料に該当しないのでしょうか。それとも「基本的」ではない異例の措置として処分されたのでしょうか。
「と話している」の部分は独自の情報ですから、続報で「と話していたが…」という記事を書くことができれば、他紙に一歩リードということになると思います。これについてはぜひ確認を行って頂ければと思います。

追記:

若干の情報を補足しておきます。
過去の除籍数の推移については、
図書館で資料の除籍数を調べてみました[http://www.downtown.jp/~soukaku/archives/2014/0425_001634.html] , 図書館資料の除籍数を、さらに調べてみた[http://www.downtown.jp/~soukaku/archives/2014/0428_022701.html]
の記事に、「日本の図書館 統計と名簿」で調査した、年度ごとの除籍資料数の推移があります。
これまで除籍をしてこなかった訳では無く、恐らく不明本や明らかな破損本、保存年限を過ぎた雑誌など、除籍基準に定めた通りの除籍は行われてきていることが分かります。
繰り返しますが、一般の市町村の図書館においては、除籍は新しい本を受け入れるのと同様、蔵書構成を整備する上で必要で重要な作業です。過去の武雄市図書館・歴史資料館が、この作業を行わないで放置してきたわけではないことは、この数字から分かると思います。

武雄市図書館訪問メモ(1)法律書の同一タイトル版違い(千代田ネタ付)[http://lomax.cocolog-nifty.com/apprentice/2013/11/1-0055.html]
法律は改正され、判例も新しいものが加わり、制度は少しずつ変わる。これは、法律情報サービスの基本である。
旧版を残しておくということは、誤った情報を提供してしまうかもしれないのである。

見学にお邪魔した際、 市長側と思しき図書館員が、「アーカイブとしての機能は放棄しましたから」
そう、CCCがそのようなコンセプトで襲ってきたんだから、現場としては従わざるを得ない。

その結果がこれである。
ここで指摘されている様に、むしろ廃棄しても良かったのではないかと言うものは、廃棄も除架 *3 もされていないのです。
「アーカイブとしての機能は放棄」どころか、「図書館としての機能は放棄」した図書館とは呼べない施設になってしまったと言わざるを得ません。

他にも、武雄市図書館(公設ツタヤ館)の問題に関連して収集した資料を、 たけお問題文書館・資料室[http://www.nantoka.com/~kei/TakeoReferences/] にまとめてあります。この問題に関心を持ち、違った観点からこの問題を研究されたい方の参考になればと思います。
*1: 私には、事実確認などの連絡はありませんでした。既に公開しているものですから、確認する義務は無いのですが、ハフィントンポストからは掲載について何点か事実確認の問い合わせを頂きましたし、佐賀新聞の方からも、もし取材頂ければ、この記事で書いたような問題点を指摘することができたと思います。
*2: あえてここには書きません。貸出の実務を考えて頂ければ、市教委の主張がおかしいのではないかと言うことに気付かれると思います。
*3: 全開架をコンセプトにしているので、除架のしようがない訳ですが。

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