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日記の更新をしばらくやっておりませんでしたが、まだこちらの日記も生きております。 まとまったものを掲載するのにはこちらを使っていこうと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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■2 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(10) - 全国図書館大会 島根大会 予稿[http://mice.ntour.jp/shimane_tosyokan2012/subcommittee/section_7.html][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館]<< 前の記事 | 次の記事 >> このエントリーをはてなブックマークに追加

Twitterで、 とツイートして頂いて、 図書館大会の発表内容[http://mice.ntour.jp/shimane_tosyokan2012/subcommittee/section_7.html] をまとまった形で公開していないことを思い出しました。
今となっては、やや古い情報に基づいている部分もあるかとは思うのですが、ここにまとめていきたいと思います。まずは予稿を掲載します。

武雄市の新図書館構想について - 情報セキュリティの観点から:

1 武雄市の新図書館構想について
1.1 新図書館構想の概要
佐賀県武雄市では、来年度(平成25年度)から、現在の武雄市図書館・歴史資料館の図書館部分の運営を、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)に委託し、365日年中無休の開館、カフェの導入、Tポイントカードの導入等を柱とした、「9つの市民価値」を実現するとしています。
8月25日現在、武雄市議会では、図書館への指定管理者制度導入を議決済みで、9月議会において、図書館改装等のための予算を議決。計画通りであれば来年4月から、CCCによる「新図書館」の運営が開始されることになります。

1.2 Tカード、Tポイントの導入
この構想の中で、「Tカード、Tポイントの導入」という計画が示されました。
5月4日に佐賀県庁で開かれた記者会見では、
「図書館のカードを全部Tポイントカードに置き換えていきます。置き換えた上で、本を借りることに関してポイントをつけたいと思っています。」
「カードが何枚もあったら財布それだけで埋まってしまいますので、一枚に済むように、そういう流れができればいいなと思っています。」
といった説明が行われました。

1.3 セキュリティ技術者の反応
Tカードの採用について、セキュリティ技術者、特にプライバシーの問題に関心を持つ人々は懸念を覚えました。
そういった中で、5月22日に図書館問題研究会が「武雄市の新・図書館構想における個人情報の取り扱いについての要請」を出し、利用履歴の問題を指摘しましたが目立った反応は無く、5月28日には図書館協会も「武雄市の新・図書館構想について」の見解を示して、この中でも「図書館利用の情報」として、この点に対する懸念を表明したわけですが、市長側は自らのブログにおいて、利用履歴の問題には触れずに「荒唐無稽」との反論をするに至りました。
これを見て、この問題に関心を持つセキュリティ技術者は、利用履歴の提供の問題については、自分たちが問題をアピールしていかなければならないという思いを持つことになり、私自身もそういう気持ちで、活動を行ってきました。

2 共通番号が持つ危険性
「共通番号」というものがあります。住基ネットで行政の様々なサービスに共通の番号が使われるのと同様、広い範囲で使用される番号をこのように呼んでいます。
住民基本台帳番号は、国が付与する番号ですが、実は身の回りを見渡してみますと、国ではなく民間事業者によっても、様々な番号が振られています。
クレジットカード番号、携帯電話の番号、意識する機会は少ないのですが、個々の携帯電話は、電話番号とは別に固有の番号が振られており、この番号も共通番号として作用します。
Suica、PASMOの様な交通系カード、そして各種ポイントカードにも番号が振られている訳です。
セキュリティ技術者は「番号があれば追跡される」と言います。追跡とは何か。
様々なイベント、例えば、交通系カードを使って電車に乗った、買い物の時にポイントカードを出したという履歴を番号付きで記録していけば、その番号を持った人の行動を追いかけ続けることができます。まさに追跡です。
これが例えば、地元の商店街が発行したポイントカードで、その商店街のどのお店で買い物をしたという程度だったら、許容できる人も多いのではないかと思います。
例えば、全国のチェーン店で使えるカードだったらどうでしょうか。あるいは、全国の様々な店舗で共通に使えるカードだったらどうでしょうか。さらに、購入した商品名、借りたDVDのタイトルも一緒に記録されたらどうでしょうか。共通の番号が広く使われるということは、追跡の範囲も対象も広くなるということです。

3 「データマイナー」について
一見、無価値な様なデータの山から、価値のあるデータを掘り出すことを、データマイニングと呼んでいます。統計解析や言語学、計算機の技術など、様々な学術技術の応用技術ですが、この技術によって、これまで明らかになってこなかった法則を発見することができ、疫学の分野、マーケティング等に活用されてきています。
一方、マーケティングを目的として、個人のデータを集めて、共通番号同士を紐付けて、さらに追跡範囲を広げたり、個人の履歴分析を行ってマーケティングのためのデータを取り出したりすることを、データマイニングと呼び、自らを「データマイナー」と称するような例が出てきました。
個人のデータから個人に関する情報を取り出すことは、技術的には当然にできることで、高度な技術を用いて未知の知識を得るデータマイナー本来の仕事ではないという意味で、「いわゆるデータマイナー」という言い方をします。
いずれにせよ、大量に集めたデータからは、一つ一つのデータとは全く次元の異なった情報を得ることができ、個人に紐づいた大量のデータに対してこういった分析が行われ、マーケティングに使用されている状況があります。

4 「ビッグデータ」時代の情報管理
データマイニングのマーケティングへの利用が言われだしたのが1990年前後で、2000年代に入ってから急速に、本格的に利用されるようになってきました。
この背景には、計算機の能力の向上と単価の下落があります。例えば、データの保存先であるHDDの容量当たり単価ですが、1998年には1GBあたり数千円だったものが、現在では数円という価格になっています。千分の1です。
こうなりますと、以前は保存しておく情報は吟味して、必要なものだけを残していたのが、いつか役に立ちそうなものは全部残しておこうという状況になってきます。もっと言えば、捨てるべき情報と保存すべき情報を分類するよりも、全部取って置いた方が安上がりという状況に既になっています。
こうなると多くの事業者は、法律などの要請が無い限り、一度取得したデータを抹消することを望まないでしょう。
情報のライフサイクル管理は「作成・配布・使用・保守・廃棄」というステップからなりますが、これまで疎かにされがちだった、廃棄のステップの重要性が増してくると考えます。

5 図書館と利用履歴について
個人の様々な履歴が、番号を伴った形で収集されて大量に蓄積される。蓄積された情報は「ビッグデータ」となり、「データマイナー」によって個人と紐付けられ、個人の嗜好や思想が推定されてマーケティングに使用される。といったことが、現実に行われているのが現在の状況です。
この中に、図書館の利用履歴を入れるという事は大変な意味を持つと考えます。
現在、武雄市新図書館構想については、状況が流動的で、詳細が明らかになっていませんが、仮に、資料の名前を含まない、例えば貸出冊数やいつ誰が図書館を利用したという事実だけでも、ここまで述べてきましたような商業的な利用に供されることは、問題だと考えています。
また、利用者の秘密を守るべき図書館において、利用者の利用事実をその様な形で提供しようとする「同意」が求められるということにも疑問を感じています。
セキュリティ技術者という立場から、今日の図書館の外での個人情報や利用履歴を取り巻く技術的な環境と、危惧するところを述べさせて頂きました。図書館に関わる方々に武雄市図書館問題を考えて頂く上で、観点の一つとして参考になりましたら幸いです。

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■3 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(11) - 全国図書館大会 島根大会 発表用スライド[http://mice.ntour.jp/shimane_tosyokan2012/subcommittee/section_7.html][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館]<< 前の記事 このエントリーをはてなブックマークに追加

後ほど発表内容を記入していきますが、リンク先にできる様にスライドを先にアップロードしておきます。

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Bio:前田勝之(まえだかつゆき)。長崎在住。コンサル、SE、プログラマー、 なんとか株式会社代表、非常勤講師(情報セキュリティ)。 セキュアド、テクニカルエンジニア(SV,NW)。サーバ管理とWeb日記を10年ほど。 ネットとリアルの接点に関心あり。食べること・歌うこと・愛すること・作ること・飲むこと。おいしいものがぜんぶすき。

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