2012年08月09日(木)<< 前の日記 | 次の日記 >>
この日の詳細

■1シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(8) - 医薬品名の収集は同意のもとに行われたのか[図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

このシリーズ。「武雄市TSUTAYA図書館」と言って書き始めた割には、TSUTAYA運営会社であるCCCの話題に偏っていますが、 特に公共図書館においては、 図書館の自由[http://www.jla.or.jp/portals/0/html/ziyuu.htm] は、存在意義に関わる大きな問題ですし、その運営にあたろうとする会社が、利用者の個人情報をどの様に扱っているかという問題は、これもまた重要な問題であると考えています。
Tカードにおいて起きたことが、武雄市TSUTAYA図書館でも起きるのではないか と懸念することは当然ですし、そうならない様にするためには何が必要かを考える上でも、この問題を掘り下げることには意味があると考えます。

T会員規約での「同意」:

7月17日の朝日新聞デジタルの記事(リンク切れ)[http://www.asahi.com/national/update/0717/NGY201207160032.html] によれば、
CCCは取材に「 購買履歴を取得することは会員規約で示している。Tカードを提示した客に限って履歴の提供を受けており、適法だと考えている」として、問題がないとの考えを示した。
としています。この内容は会員規約にはどの様に書かれているでしょうか。
2.当社が取得する会員の個人情報の項目
(2)ポイントプログラム参加企業における利用の履歴
この「利用の履歴」が、「商品名を取得すること」を含んでいるというのが、CCC側の主張の様ですが、これには疑問があります。
もし、商品名を取得することを含んでいるのであれば、なぜ、それを明示しなかったのでしょうか。
クレジットカードの決済時に、CAT端末を通じてやり取りされるのは加盟店と金額の情報のみですし、電子マネーの場合、例えば、イオングループの電子マネー WAON[http://www.waon.net/index.html] は、同じく 「利用履歴」を取得するとしていますが、取得しているのは、店舗名と購入金額のみであり、商品名は含んでいません。
つまり「利用の履歴」が具体的に何を指すのかは、一般的な判断はできないということです。
一般的に判断できない以上、「CCCのことだから、商品名も収集しているに違いない」と警戒して掛かる人もいれば、「利用履歴といえば、どの店で利用したという情報だろう」と判断する人もいるだろうということになります。
したがって、 商品名が取得されているということが認識された上での同意を得るためには、 当然のことながら、 「商品名を取得します」と記載した上で、同意を得る必要がある でしょう。
現状の規約に「利用の履歴」と書いてあるから、 全ての人が「医薬品名を収集されることに同意したはずだ」と主張することには無理がある と考えます。

TSUTAYAコンタクトセンターへの問い合わせ:

Tポイント履歴 この事件が報道される以前に、「Tカードを提示した際に、商品名が収集されるのではないか」という疑問を持ったことがあり、その時にも規約を確認したのですが、前述の通り、「商品名を取得する」とは明確に書かれていなかったため、TSUTAYAコンタクトセンターに問い合わせたことがあります。
その際の説明では、「商品名を取得している」との明確な回答を得ることはできず、「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」は、 Tサイト[http://tsite.jp/pc/r/about/] の「Tポイントの履歴照会」から確認できるという説明を受けました。
私自身はTカードを持っていないため、Tカード利用者の方から「Tポイントの履歴照会」画面のスクリーンキャプチャーを提供頂きましたが、 このページの内容には購入した商品名も購入金額も含まれていません。

私は電話でのやり取りだったのですが、これも報道前に、メールで同様のやり取りをされた方がいらっしゃって、以下の様な回答を受け取っています。

(2) ポイントプログラム参加企業における利用の履歴
お客様ご自身でTサイトにご登録をいただくことで確認が可能となります。期間等は、過去6カ月以内で最大100件まで表示可能です。
本件に関しては、届出書に開示項目として手書きで『ポイント履歴』を追記頂ければ申請日より1年間の履歴を郵送にて返送いたします。
これはパソコンなどのトラブル等で確認できない方への対応としております。

つまり、 TSUTAYAコンタクトセンターでは、事件報道以前には、「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」とは、Tサイトで確認できる「ポイント履歴」であると回答していた という事です。 にもかかわらず、 事件の報道を機に、利用の履歴は商品名を含んでいると主張 されるということになると、 これはもう一体何を信用してよいか分からない ということになります。

公共図書館がTカードを導入するという事:

一般の消費生活の場面であれば、「これはもう一体何を信用してよいか分からない」ということであれば、「Tカードは持たない」という選択をすることができます。
その店は、売り上げの一部をポイント原資に使っている訳ですから、Tカードでポイントを貯めなければ、その分、損をすることになる訳ですが、それが嫌だったら、 その店を使わないという選択 をすることもできます。

ところが、公共図書館がTカードを導入するということになれば、話が違ってきます。
公共図書館を選択することは、ほとんどできません し、 図書館の利用事実に関して、利用者のプライバシーを侵さない ことは、公共図書館としての大原則です。
この大原則を曲げるのであれば、医療上の機微情報の扱いに準ずるような 個別・具体的な説明の上に同意を得ることが必要 になるでしょう。
その様な個別・具体的な同意を得るものとしても、公共図書館という場において、利用者に対する図書館としてのミッションの達成に関係しないところで、図書館の自由を危うくするような仕組みをあえて導入することが、公共図書館として利用者のためになることがどうかは大いに疑問です。
そもそもの問題として、 CCCが信用できないからTカードを選択しない利用者としては、Tカードを使わなければ、果たして利用履歴が守られるのか という心配もあるでしょう。

また、お店において、ポイント原資が売り上げの一部から賄われるのと同様に、図書館の場合は、ポイント原資が直接的であれ、間接的であれ、図書館運営費の中から賄われることになります。
結果として、 公共図書館の運営費が、Tカード利用を受け入れた人だけにポイントの形で支出され、図書館利用者の利用事実の追跡のために使われる ことになる訳ですが、この点も、公共図書館の運営上は課題となるのではないでしょうか。
ポイントを付与するのであれば、あくまで公共図書館としてのミッションに寄与する形 *1 、利用者全体に還元される *2 形でなければならないと考えます。

*1: 「表彰」的に、しおりがもらえる等、児童生徒のモチベーションを生み出すために活用しているケース。
*2: 延滞せずに返却した場合にポイント付与。予約が入っている本を早く返した場合にポイント付与など。ポイントを受け取って協力すると、他の利用者に利益が生じる様な運用。

■ 関連記事

詳細はこの日の詳細から

以上、31 日分です。

指定日の日記を表示

前月 2012年08月 翌月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最近の日記

2019年04月01日

新元号「令和」について

2019年03月23日

DXアンテナ ワイヤレスチューナー メディアコンセント DMC10F1

2019年02月17日

#例のグラボを活用する

2019年01月03日

シリーズ5・myHomeAlexaで自分のCDをかける

2018年12月25日

シリーズ4・英語の楽曲・アルバム・アーティスト名をカタカナに直す

2018年12月23日

シリーズ3: Echo Dotがやってきた

2018年12月19日

続・Echo Dotがやってきた

分野別タイトル一覧


全て
CLIP
SYA!nikki
book
freebsd
hns
magic
おさけ
おしごと
お買いもの
ぐる
ごはん
アクセシビリティ
オープンソース
セキュリティ
音楽
地域情報化
電子自治体
日記

keikuma on Twitter

keikuma Name:前田勝之
Location:長崎市
Web:http://www.nantok...
Bio:前田勝之(まえだかつゆき)。長崎在住。コンサル、SE、プログラマー、 なんとか株式会社代表、非常勤講師(情報セキュリティ)。 セキュアド、テクニカルエンジニア(SV,NW)。サーバ管理とWeb日記を10年ほど。 ネットとリアルの接点に関心あり。食べること・歌うこと・愛すること・作ること・飲むこと。おいしいものがぜんぶすき。

サイト内検索

Google AdSense

Powered by hns-2.19.9, HyperNikkiSystem Project