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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(2) - 図書館への指定管理者制度導入を考える[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120630S1][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

前編で、[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120630S1] 「図書館は指定管理になじまない」を紹介したわけですが、スポーツセンターや博物館といった公の施設の中で、なぜ図書館だけが取り立てて「指定管理になじまない」と言われるのでしょうか。
この点に関しては、図書館の永続性や社会教育施設としての性格などから、指定管理になじまないとする論もあるのですが、ややビジネスによった観点から考えてみたことがあります。

指定管理者制度のメリット:

そもそも、指定管理者制度のメリットは、民間企業が持つ経営ノウハウを活用することによって、施設を有効活用するという点にあるはずです。
例えば、博物館や美術館の様に、来館者が増えることによって営業収益が上がる施設であれば、住民が多く足を運ぶ企画を組むことによって、入場料による収益が期待でき、かつ施設も有効活用することができます。
一方で、民間企業の柔軟性によって経営効率を改善することによって、サービスレベルを維持したままコストの削減を図ることも可能でしょう。

指定管理者制度のデメリット:

一方で、野放図に民間の収益に任せてしまえば、博物館や美術館が持つ、社会教育施設としての側面がないがしろにされたり、コスト削減に走るあまり、質的な低下をもたらす可能性があります。
そこで、指定管理を行う際の契約書にあたる「協定書」で、指定管理者が行わなければならない事業を定めたり、人員体制を定めたりすることになるのですが、あまりにも硬直化した事項を定めれば、指定管理者の柔軟な経営を阻害し、メリットも無くなってしまうという課題があります。

図書館への指定管理制度の導入:

図書館に指定管理者制度を導入した場合、美術館や博物館の様に入場料を取ることができる施設とは異なった問題が生じます。
ある図書館の指定管理を受託した企業が、とても優秀で、優秀なスタッフが揃っていて、どんどん利用者が増えたとします。入場料が取れる施設であれば、その分、来館者収入が得られて、指定管理者の収益も上がり、来館者が増えたことに応じてスタッフに手当てを出したり、スタッフを増員したりすることができます。施設も有効活用されていう事なしです。
一方、図書館の場合は、利用者から利用料を徴収することはできません。利用者が増えれば、スタッフの労働密度も上がり、いずれは、例えば待ち時間と言う形で利用者に不便を強いることになります。
排架作業も予定した時間でさばききれない様になれば、残業で対応しなければならなくなりますし、それでも困難になればスタッフを増やさざるを得なくなります。
人員面では頑張ったとしても、利用者が増えることによって、施設そのもののメンテナンスコストは確実に増えることになり、これら全てのコストは、指定管理者の負担増となるのです。
つまり、 市民に利用される図書館づくりを頑張るほど、指定管理者の組織にもスタッフにも負担が増えてしまう という図書館への指定管理導入特有の問題があります。

インセンティブの付与:

この問題の解決案として、利用者数に対してインセンティブを付与する方法を導入している館があります。 利用度合い(貸出冊数や来館者数等)に応じて、次回の契約更新時に加点評価を行ったり、直接的に追加の支払いを行うというものです。
結論から言いますと、いずれの方法によっても、「利用度合いを増やすことによって、指定管理者の利益が増える」という領域までインセンティブを与えることは、必ずしも図書館の有効な活用につながらなくなる新たな問題を引き起こすという問題があって、せいぜい、利用者増によるコストの補償という領域に留まらざるを得ないと考えます。
仮に、貸出冊数や来館者数を増やしさえすれば、収益が上がり、それが指定管理者にとって魅力的な報酬になると、例えば、ポイントを付与して余計に本を貸し出すと言った手法を取ることによって、施設の有効活用とかい離した数字を積み上げることができてしまいます。したがって単に、「数字を出せば儲かる」という仕組みを導入すべきではありません。
利用度合いによって、追加で必要になった人件費やメンテナンスコストを補償することは有効だと思いますが、これだけでは、指定管理者がビジネスとして、自らリスクを取って、自らの工夫で図書館を有効に使ってもらう施策を打ち出そうという意欲にはつながりにくいと思われます。

インセンティブ以外の道:

それでは、指定管理者が自ら、図書館の魅力を向上させたいというモチベーションを持つ方法は他にはないのでしょうか。
上記の矛盾に気づいてから、しばらく考えてきたのですが、両極端な方法が2つあると私は考えています。
(続く)

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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(3) - 指定管理館の先にある二つの道[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120706S1#T201207061S5][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

前回の記事の最後[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120706S1#T201207061S5] では、インセンティブ以外の道として両極端なものが二つ考えられると書きました。
今回は、その二つの道を探ってみたいと思います。

図書館をコアとした複合商業施設化:

今回の「武雄市蔦谷図書館」構想が発表された時には、この姿に近いものを感じました。
図書館をコアとして、書籍や文具等の販売、ビデオレンタル、カフェ等の施設を運営することによって、図書館の集客を商業施設の売上につなげることによって、図書館運営者の利益を生み出す方法です。
図書館利用者が増えることによって、書籍や文具、カフェ等の売上が増えることになりますから、運営者には来館者を増やすことによる利益が発生します。開館時間の延長も、来客者数だけでは無く顧客層を広げることにつながりますから、運営側として商業的に取り組む意義が生まれます。
さらに、図書館で借りられない資料や、読んだ本に関係する資料をレンタルとして利用できることは、利用者にとっても様々なリソースをシームレスに活用する場としてメリットが生じるでしょう。カフェでは、商業空間ならではのサービスを受けることができるかも知れません。
しかしながら、この方法を取る場合、 運営側にあくまでも図書館サービスを核とする という姿勢を約束させなければならないという難しい課題があります。
例えば、運営者が売れ筋の雑誌を売りたいあまり図書館での貸し出しをしなくなったり、選書において営業への配慮を行ったりすれば、図書館そのもののサービスは低下します。
雑誌や書籍などの商品に限らず、 可処分余暇時間は一定ですから 図書館の本を読んでもらうよりも、レンタルのDVDを見て欲しいということになってしまうと、可処分余暇時間の点で、図書館事業と収益ビジネスの競合が発生します。
読まれない本を貸し出すことは、図書館本来の運営からすると、資料を本当に利用したい人の利用機会を奪うことにつながってしまいますが、読まれなくても良いから貸し出すという姿勢を取れば、図書館利用の質は低下しているにも関わらず、貸出冊数や来館者数と言う指標は低下しないという状況は生じてしまいますから、この様な単純な指標で質を確保するのは困難です。
従って、結局のところ、運営者の理念やモラルといった、外形的に評価が難しいものを信じて、図書館の運営を委ねざるを得ないという課題はあるでしょう。

住民立図書館の実現手段としての指定管理制度:

もう一方の端には、指定管理制度を「住民立図書館」を実現する手段として用いるという可能性があるのではないかと考えます。
住民が資金を出し合って図書館を運営する「私立公共図書館」を実現して、そこに自治体が資金的な援助をすることには、現在は図書館法の制約がありますが *1 、公立図書館の運営を住民が支えることには何の制約もありません。
図書館を支えたい地域住民がNPO団体等を設立して、指定管理者として図書館の運営を行う。よりよい図書館にしたい人は、図書館サポーターとして会費で支える、無償・有償のボランティアとして図書館を直接支えるという活動をします。
この場合、 図書館がよりよく運営されて、図書館のファンが増えることは、その図書館を支える人が増えることにつながります。 余裕が出れば、開館時間を延ばすことも可能になるかも知れません。
先の節では難しいとした 商業施設の併設も、その利益が図書館運営に資されるという前提であれば、主客逆転の問題も生じにくく、取り入れやすい ものとなるでしょう。
もちろん、図書館が住民に求められておらず、自治体も十分な費用を負担しなかったとしたら、歯車が逆に回って、図書館のサービスが最低ラインまで落ち込む可能性はあります。午前中は排架作業がメインで、カウンター対応に時間が掛かるとか、夕方は4時で閉館と言うことになるかも知れません。しかし、それでもある意味においては、市民が望んだ図書館運営と言うことでは無いでしょうか。
自治体の税収が厳しくなっていく中で、義務的負担だけで財政を圧迫し、いずれは図書館を閉めざるを得ないというところまで追い込まれる自治体が出てくるかも知れません。
そういう状況の中で、公共図書館を支えるのは誰かと言う原点を問われる時が出てくるでしょう。指定管理制度を導入しなくとも、 「利用者に支えられる図書館」であることが、図書館が存続し続けるためには不可欠 であると考えます。
*1: 図書館法第二十六条  国及び地方公共団体は、私立図書館の事業に干渉を加え、又は図書館を設置する法人に対し、補助金を交付してはならない。

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2012年07月14日()<< 前の日記 | 次の日記 >>
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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(4) - 武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会 公開質問状[http://www32.atwiki.jp/takeoccc/pages/27.html][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会の皆さんが、今回の問題を機に 図書館のあり方を改めて考えようと[http://mainichi.jp/area/saga/news/20120705ddlk41010506000c.html] という会を行っていらっしゃいますが、活動の一環として各議員の方に対して出していた、 公開質問状[http://www32.atwiki.jp/takeoccc/pages/27.html] があります。
今回はこの質問について、私なりの回答をまとめてみたいと思います。
1) 図書館のミッション(使命)は何だと思われますか。図書館と義務教育は、人として生きる基本としての「知」を誰もが身につけるができるように無料の原則になっています。また図書館は「民主主義の砦」といわれています。
あなたにとって図書館とは。
公共図書館としての第一の使命は、社会教育機関として、 学びたい人が学べる機能を提供すること にあると考えます。
その上で、私にとって図書館は「データベース」です。必要な資料が予め備えられていて、必要に応じてアクセスできる。これを必要になるかも知れない様々な分野について、予め行っておくことは、個人の資力や努力だけで実現できることではありません。
ネットがあり、書店があり、 CiNii[http://ci.nii.ac.jp/] で多くの論文が検索できて、ネット書店で販売されている本ならば翌日にも手元に届くという状況にあっても、初めて出会う分野で、適切な資料を探し、その書籍の参考文献を辿って、求める資料を見つけ出すためには、実際に書籍が並べられている図書館というデータベースが不可欠です。
データベースとして考えると、図書館のサービスは、今の利用者だけに向けられているのではなく、将来利用するかも知れない全ての市民に向いており、例えば選書にあたっても、現在の利用者が必要とする資料だけではなく、将来の利用者が必要とする資料を予め用意しておく必要性に理解が至ると考えます。
2) 今回の計画では、喫茶や本や文房具の販売など図書館本来の業務でないメニューがありますが、そのメニューは道路一つ隔てた「ゆめタウンたけお」の施設内に既にあります。図書館を増築してまで、その部分(商業的空間)を抱え込む必要はないと思いますが。
図書館の中にあることによって、独自の価値を見いだせる施設を提供できるかどうかによると思います。
例えば、図書館を長時間利用して、一息入れたい時、同じ施設の中にカフェがあることは、利用者にとってメリットがあると思います。
前の日記[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120708S1#T201207081S1] にも書きましたが、 図書館サービスがコアで、図書館利用者にとって、どういうメリットが提供できるのか で判断すべきだと思います。
3) 365日休日なしの開館だそうですが、建築物にも図書にも人間にもメンテナンスの時間が必要です。その時間を確保する事が、活き活きとした図書館運営につながります。図書館全体が疲弊しないように考えてやることが必要ではないですか。
コストパフォーマンスで考えるべき問題だろうと思います。365日開館は可能であろうと思いますが、当然ながら、 365日に近づければ近づけるほど、1日開館日数を増やすためのコストが増大 します。
例えば、閉館時間だけで蔵書点検を行うことは、棚卸代行業者の手を借りれば恐らく可能でしょう。また、清掃作業やシステムのメンテナンスについても、夜間の割増料金を支払って夜間対応してもらうことは可能でしょう。
しかしながら、 これらの外部委託はサービスのコストを上げるだけでなく、図書館スタッフが直接タッチしない部分が出てきてしまうために、サービス全体の質の低下を招きます。
これらのコストと質の低下を受け入れても、365日開館する方が良いかということについては、私自身はかなり疑問に感じます。
4) 旧山内町・北方町への図書館サービスはどうなるのでしょうか。伊万里市では、2台の自動車図書館が保育園・学校・老人施設などを巡回し、日常的に図書館に行くことができない子どもやお年寄りへ図書館サービスを届けています。全域平等のサービスを指定管理者に求めることができるのでしょうか。
指定管理者だからできないということは無いと考えますが、現行の計画にはこの観点が欠落していると思います。
5)子どもたちの学びの支援や図書館ネットワークは大丈夫でしょうか。武雄市は平成19年に「子ども読書推進計画」を策定しています。読書啓発などには司書の専門性が欠かせません。また、図書館は単体では限界があり、国会図書館など他の図書館とのネットワークで成り立っています。
今回のように効率性だけが強調されると、それらが切り捨てられる恐れがあると思いますが。
4同様。図書館の役割として重要なものですし、指定管理者だからできないということは無いと思いますが、現行の計画ではこの観点が欠落していると思います。
特に学校図書館との連携。指定管理館でもしっかりとやっているところは、施設貸出や図書館体験等を含めてしっかりとやっています。特にCCCにノウハウを期待できない部分だけに、協定に盛り込まれないと切り捨てられる可能性があると思います。
6)万一、指定管理者が撤退した場合の責任はどうなるのでしょうか。図書館は基本的に利益を生む施設ではないので、全国的に導入後に撤退した事例もあります。今回は施設改修も伴っており、万一の場合に最終決定者としての市議会の責任が問われることになりますが。
撤退の可能性は十分にあると思います。特に今回は、「CCCにしかできない」と主張されているプランであり、それに向けた施設の改修を行うわけですから、撤退リスクについては十分検討をしておく必要があり、ここを議論する責任は市議会にもあると思います。
7)歴史資料館を現在地から動かせるでしょうか。武雄市文化会館と図書館歴史資料館は40年前の武雄文化施設群構想からスタートしており、その計画は歴史的遺産である鍋島屋敷の敷地再生と鍋島茂義候の顕彰も含まれています。茂義候鋳造の日本最初の大砲の展示など、旧鍋島屋敷(武雄市文化会館)と図書館歴史資料館とは不離一体でなければなりません。さらに、近年日本人の自然回帰に伴い御船山の景観や、武雄の大楠を訪れる人が多くなっています。その観光客の皆さまにも、武雄のアイデンティティを発信する市民の生涯学習としての核施設として、さらに、市民と観光客との交流施設として、現在地における図書館・歴史資料館のポテンシャルは今後ますます大きくなると思います。
そのことについて、ご所見をお聞かせください。
そもそも、武雄市の歴史資料館は図書館と一体をなすものとして条例でも位置づけられています。切り離すのであれば、条例の改正が必要でしょうし、当然ながら、図書館をどうするかという問題と、歴史資料館をどうするのかという問題はあわせて議論する必要があると思います。

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2012年07月18日(水)<< 前の日記 | 次の日記 >>
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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(5) - 続・CCCに保有個人データの開示について問い合わせてみた[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120628S1][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

前回の問い合わせ[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120628S1#T201206281S2] の後、動きがありましたので追記します。

CCCからの回答:

翌日、29日にCCC担当の方から折り返しのお電話を頂きまして、
【報告】CCCから、届出書にある6項目以外については、法第二十五条の「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当するので開示しないとの回答を頂きました。
という説明を頂きました。
ここで言っている、「法第二十五条の〜」というのは、
(開示)
第二十五条  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
一  本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二   当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三  他の法令に違反することとなる場合
を指すわけですが、では一体どうして、開示を行うことが「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれ」を生じるのかということが疑問になってきます。
一般的な解釈では、この「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす」ケースとして、
事例1)試験実施機関において、採点情報のすべてを開示することにより、試験制度の維持に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
事例2)同一の本人から複雑な対応を要する同一内容について繰り返し開示の求めがあり、事実上問い合わせ窓口が占有されることによって他の問い合わせ対応業務が立ち行かなくなる等、業務上著しい支障を及ぼすおそれがある場合
の様なケースが挙げられています。
この二つの例を見ますと、確かに法的保護が必要な支障が生じるおそれがある例だと思われます。
また、逐条解説等によれば「支障」の程度については名目的なものでは足りず、実質的なものが要求されるとされており、「おそれ」についても、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる *1 とされていますが、これらの例では、これらの条件も満たしていると言えるでしょう。
しかしながら、ただ、 法第二十五条の「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当する との主張では、果たしてこの様な「法的保護が必要な支障が生じるおそれ」があるのかどうか判断をすることはできません。
少なくとも、今回は開示請求を行ったわけではありませんから、 上記事例2の様に、「問い合わせ窓口が占有される」ケースに該当するはずはありません。
したがって、 法第二十五条の「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当するというからには、今回の私の問い合わせについてだけではなく、常に同じ理由で開示をしていない可能性がある と考えて、その理由を知りたいと考えました。

JIPDECへの問い合わせ:

これまでのCCCの対応を見ると、窓口ではきちんとした対応が難しいようでしたので、CCCが掲げている、 プライバシーマーク[http://privacymark.jp/] に関しての認定個人情報保護団体であるJIPDEC *2 に、「個人情報を開示しない理由の説明が不適切ではないかという苦情」を解決してもらうべく相談してみることにしました。
「JIPDECさんですか。お世話になります。今日はそちらの対象事業者のカルチュア・コンビニエンス・クラブについて、法42条に基づく苦情の処理についてご相談したくてお電話しました。」
という様なお電話をして、詳細をメールで伝えることになりました。
(CCCから電話にて回答を得るところまでの説明省略)

上記回答ですが、「法25条2項の但し書きに該当する」と主張するだけで、 なぜその但し書きに該当するかの説明は頂けませんでした。

「当該事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」にあたる具体的な理由の説明を得たいと思っております。

今回は、請求方法を確認させて頂いたに過ぎませんから、頻回の請求で業務が立ち行かなくなるという理由は考えられませんので、 開示しない項目については 誰が請求しても「当該事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」として開示を受けられないということであろうかと思います。

もし、 「法25条2項の但し書きに該当する」と言うだけで良いのであれば、適切な開示等に応じてもらうことが期待できなくなりますから、但し書きを理由にするのであれば、開示等をしない理由を説明する努力義務があると考えています(法第28条)。

また、この事業者はプライバシーマーク付与事業者でもありますから、JIS Q15001 で言えば、「開示することによって次のa)〜c) のいずれかに該当する場合は,その全部又は一部を開示する必要はないが,そのときは,本人に遅滞なくその旨を通知するとともに,理由を説明しなければならない。」 との項目を置いていますが、 ただ、「法25条2項の但し書きに該当する」との説明を示すことが、「理由を説明」したことにあたるのかという疑問を持っております。

実際に、プライバシーマークを付与されている訳ですから、「JIS Q15001:2006を ベースとした個人情報マネジメントシステム実施のためのガイドライン -第2版-」 で言うところの、「3.4.4.5 開示対象個人情報の開示」で言えば、 「開示の求めに応じないのは、JISが定めるただし書きの場合のみに限定している こと。」を審査されたと思うのですが、 この際には、 ただし書きに該当するとした、開示しないこととした項目について、「当該事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」であるという理由を確認したと考えております。

(後書き省略)
2012-07-05 JIPDEC プライバシーマーク事務局へのメール

JIPDECからの中間報告:

この後、JIPDECではCCCに文書で説明を求めたりしていた様なのですが、本日、JIPDECから中間報告を頂きました。
現在、 当該事業者のプライバシーマーク審査を担当した一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUSA)*3 の審査資料を基に確認 を行っております。
また、状況により 当該事業者個人情報の責任者にヒヤリングを予定しております。
2012-07-18 JIPDEC プライバシーマーク事務局からのメール
ということで、私の疑問については、JIPDEC側にも理解頂けていた様です。この件についても、続報がありましたら、また報告していきたいと思います。
*1: 「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」を補完する事例集[http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170331kenpoqa.pdf]
*2: 一般財団法人日本情報経済社会推進協会。プライバシーマーク付与認定事業者が行う事業の認定個人情報保護団体であり、個人情報の取扱いに関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該対象事業者に対し、その苦情の内容を通知してその迅速な解決を求めなければならないことになっています。
*3: 原文ママ

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2012年07月20日(金)<< 前の日記 | 次の日記 >>
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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(6) - 開架と閉架について[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120718S1][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

せっかくの蔵書を、利用者から直接見えないところにしまってしまうのはもったいないと感じる方がいらっしゃるかも知れません。 しまっていないで、利用者が選べるように全部開架に並べれば良いし、第一、たくさん本が並んでいて見栄えがするじゃないかとそういう考えをお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。
今回は、開架に出すことのメリット・デメリットと、どうすればより良い書架構成になるかについて考えてみたいと思います。

開架は、利用者がアクセスできるところに書架が並んでいて、本を直接見ながら資料を利用することができる場所になっています。 利用者がアクセスする場所ですから、棚に本を並べる時にもゆとりを持たせてあり、書架自体の高さも、利用者の取り出しやすさや圧迫感を感じないという観点から低めに抑えられています。
大雑把な計算ですが、90センチ幅の書架で棚一段当たり30冊。本の高さにも依りますが、開架で一般的な6段の棚で、書架当たり180冊の本が並ぶことになります。

一方、閉架は、利用者からの依頼を受けて、スタッフが本を出納する仕組みなのですが、こちらはスペースを最大限に使える様に幅方向にも高さ方向にも本を詰め込むように、棚への並べ方も、書架の高さも変わってきます。通路幅も作業に必要な最低限を確保すれば良いということになり、スライド式の書架や電動の集密書架、自動書庫等を使って通路幅を最低限にしている図書館もあります。
また、人間の居心地を重視した空間ではありませんから、 本にとって居心地が良い範囲で空調され、照明も作業に必要な最低限のもの が使用されることになります。
採用する書架によって異なりますが、 単位面積当たりの収蔵可能冊数は、開架の数倍になります。

閉架は単位面積当たりの収蔵可能冊数が多いのですが、開架に出ている本は利用者が直に背表紙を見て、手に取って資料を選ぶことができるというメリットがあり、OPAC等を用いずにブラウジングで資料を探すことができ、棚に並んでいる関連する資料 *1 にも関心を拡大して利用が増えるという利点があります。
このため、一般的な図書館では、この開架と閉架を使い分けて、資料の提供を行っています。
開架には、新しい本や利用頻度が高い本を排架する一方、例えば、新しい版が出た際に古い版を閉架に移したり、時代が移って内容が古くなってきた本を閉架に移していきます。
こういう「新陳代謝」によって、古い本ばかり並んでいるという印象が生じることを避けるとともに、調査などの必要に応じて古くなった本は閉架から出納することによって、ロングテール部分の需要 *2 に応えることができる図書館が実現されています。

こういう現状から、全ての蔵書をあまり考えずに開架に出すとどの様なことが起るでしょうか。
まず、先ほどの計算で、20万冊を開架に出すために必要な書架は、約1100架。一般的な公共図書館では、棚間の芯芯距離を1350mm。アクセス通路の余裕面積を1.25程度で設計されていますから *3 、20万冊分の書架を開架で並べるためには、ざっと850平方メートルが必要になります。
つまり、新たに床面積を確保しない限り、 書架以外のスペースが削られ、図書館内で資料を閲覧したり学習したりするスペースが削られる ことになりますから、現状、これらの閲覧・学習のためのスペースが十分で、余っているという状況でなければ、この点は利用者のデメリットになるでしょう。
次に、 棚全体に古い資料が目立つようになり、全体として古臭い雰囲気 になります。ある分野についての新しい情報が書かれている本を、利用者が自ら探さなければならなくなるのです。
これは、一般的な利用者にとっては不便をもたらす可能性があります。
さらに、これは図書館スタッフ側の問題ではありますが、 開架の棚が増えると、棚整理の手間はそれ以上に増えます。
図書館内の資料は全て置き場所が決まっており、決まった場所に無ければ、利用したい本が事実上利用できない状況になります。 一方で、開架では、利用者は館内閲覧した本を自ら書架に戻しますから、戻し間違いがどうしても生じます。
このため、図書館では、常にスタッフが開架全体に目を配って、本来あるべき場所に本を戻す作業を行っています。 例えば開架が2倍になれば、点検しなければいけない書架は倍になり、間違った場所に移す手間も書架が多くなった分だけ増えます。 従って、 開架の棚に対して比例以上に棚整理の手間が増える ことになります。
書籍にICタグを採用して、棚単位で所在確認をリアルタイムに行う様なシステムは実現可能で、 こういったシステムによって、所蔵場所の確認をすることはできますが、正しい場所に移す作業自体が必要なのは当然ですし、 開架書架は利用者が直接、見る書架ですから、図書館スタッフが、常に排架状態に目を配っておく必要があるということを考えれば、 こういったシステムによって大幅な省力化を図ることは難しいと考えます。

この様に、 何も考えずに開架に移しただけでは、見栄えも利用者の利便性も低下 してしまいますので、ただ数字やインパクトのためでなく、利用者のために「20万冊を開架に」移すためには様々な工夫が必要になるようです。
例えば、大学図書館に見られる様な安全開架 *4 や、正式な用語は知らないのですが、通常開架スペースよりも書庫に近いような形態で、一度手に取った本は書架に戻さず、書架の端にあるブックトラックに戻す様な運用を取り入れるのが方策の一つでしょう。
また、排架にも工夫が必要で、開架とは言え、一般的な開架とは別に、閉架的な書架として分けた運用をしないと、一般的な利用者にとって、ブラウジングの手間が増えますし、読みたい本に出会うことが大変になるでしょう。
本屋さんや図書館で、本を眺めながら時間を費やすのは楽しいことですが、利用者の時間を節約することも図書館の大事な使命です。
閲覧・学習スペースを確保するために、一部の書架の密度を上げる場合には、当然ながら、ハンディを持つ方への配慮が必要になるでしょうし、いっそ「閉架を見せる」というコンセプトで、準開架に近い運用として、取り出しは自分でやっても良いし、スタッフに頼んでも良い。戻すときは、ブックトラックやカウンターへという運用が、良いのかも知れません。
いずれにしても、 通常の閉架よりもスタッフを充実させないと、「20万冊の開架」のメリットは活きてこない のは間違いが無いところでしょう。

今日は、いくつかのテーマにまとめて触れる積りでいたのですが、このテーマだけで結構な分量を書いてしまいました。
今回の計画、これまでの図書館から大きく変化するところがたくさんありますから、一つの項目だけをとっても、 これだけ考えることが出てきます。
自分の図書館について、考えてみる材料にするのも良いと思います。

*1: 図書館では、「首長パンチ」のとなりに、「首長の暴走 - あくね問題の政治学」が並んでいたりします。
*2: 図書館の設計や運用によって異なりますが、閉架に収蔵している本は開架の倍程度あることは少なくありません。
*3: これを下回ると、車いすが入れなくなったり、高齢者含め身体が不自由な人はアクセスが困難になります。
*4: 通常の開架の様に閲覧室とつながっておらず、利用者が携行品を預けるなどして、書庫スペースに入り、必要な資料を取り出す様になっている書架。

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■1 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(7) - 続々・CCCに保有個人データの開示について問い合わせてみた[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120718S1][図書館][武雄市][CCC][TSUTAYA図書館] このエントリーをはてなブックマークに追加

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)の個人情報の取り扱いについて(ご報告), JIPDEC, 2012-07-27 前回、 JIPDECからの中間報告[http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20120718S1#T201207181S3] を頂いていましたが、7月27日に、ようやく、正式な報告を受領しました。
CCCからの報告としては、前回の日記で書いた通り、 当社業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすことから、「個人情報保護法第25 条第1項二」に則り、開示をお断りしている。 というものであった様ですが、
プライバシーマーク付与事業者である当該事業者においては、JIS Q 15001 の要求事項3.4.4.5にある通り、開示しない理由を説明する義務があると当事務局では考えます。
当該事業者の【業務に著しい支障があるため】との説明は、JIS Q 15001 の要求事項3.4.4.5 の例外事項b)に該当することの説明であり、開示しないことの理由の説明とは考え難いものであることを指摘し、 どのような状況・理由から当該事項を根拠としたか等について確認を行いました。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)の個人情報の取り扱いについて(ご報告), JIPDEC, 2012-07-27
ということで、CCCに対する確認を行い、以下の回答を得た旨、報告を頂きました。
その結果、当該事業者より報告事項(3)の「開示ができない理由」については、当該事業者のデータ管理の仕組み上、 一会員のデータを抽出・出力する際の工数の多さ・稼働中のシステムへの負荷・コスト上の問題等が存在し、業務に著しい支障が出る状況が想定されるとの説明が、当該事業者の情報管理の責任者からございました。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)の個人情報の取り扱いについて(ご報告), JIPDEC, 2012-07-27
JIPDECを通じた問い合わせによって、開示できない理由として、このような事情があることは明らかになりましたが *1 、これを理由として開示を行わないことには問題があると考えましたので、再度、JIPDECに問い合わせを行いました。

今回は、CCCとの問題解決というより、主として問題の解決に当たる、認定個人情報保護団体としてのJIPDECの考え方を整理するもので、以下の4点を質問させて頂いております。
  1. Pマーク付与事業者として、開示できない理由の説明が正当なものであると、JIPDECは判断しているのか。
  2. 開示対象個人情報の利用又は提供の拒否はできるのか
  3. 個別具体的な同意なく収集された機微情報についてどの様に考えるか。
  4. 「会員のライフスタイル分析のため」という利用目的は、利用目的を十分に特定しているか。
回答頂き次第、追って、こちらでも紹介していきたいと思います。

開示できない理由の説明について:

よくわかるプライバシーマーク制度, JIPDEC, 2012 CCCは前述の通り、「開示できない理由」として、 一会員のデータを抽出・出力する際の工数の多さ・稼働中のシステムへの負荷・コスト上の問題等が存在し、業務に著しい支障が出る状況が想定される 旨、説明していますが、これが果たして正当なものであるかどうか、消費者の立場からは疑問があります。
CCCは、プライバシーマーク付与事業者としてプライバシーマークを掲げていますが、例えば、プライバシーマークの消費者向け説明資料である、 よくわかるプライバシーマーク制度[http://privacymark.jp/reference/pdf/2012_wakaru_pmark.pdf] 、14ページには、 プライバシーマーク付与事業者は、個人情報の利用停止や第三者への提供禁止について、本人から請求があった場合は原則として応じます。 との説明があります。
よくわかるプライバシーマーク制度, JIPDEC, 2012 従って、一般消費者の理解としては、 「Pマーク事業者だったら、個人情報を扱われるのが嫌になったら利用を停止してもらえる」という期待がある ものと考えられますし、私自身も同様の理解をしておりました。
にも関わらず、 いざ利用や提供を拒否しようとすると、上述の理由でそれが不可能であると告げられるのだとしたら、Pマークがあっても、開示対象個人情報の利用又は提供の拒否権に関しては、何の保証も得られない ということになります。
そもそも、プライバシーマークは、JIPDEC自らが「安心のためのひとつの目安」であるとしている通り、一般の利用者が個人情報を提供するにあたり、 個人情報保護法の条文や規約を精査しなくとも、このマークがあれば安心だ という目安になるマークであったはずです。
このマークを掲げているにも関わらず、特別な事情を持ち出して、法に掲げられた原則を履行しないことが適正とされるのであれば、もはやプライバシーマークは消費者に何の安心も提供しないことになります。
これは特定事業者の問題のみならず、プライバシーマーク自体の信頼に影響する問題ですから、JIPDECとしての見解を明確にして欲しいと考えます。

機微情報の収集と利用又は提供の拒否について:

既に報道された通り、CCCは加盟するドラッグストアで、医薬品の購買履歴というセンシティブな情報を取得しています。
4千万人以上が利用する日本最大の共通ポイントサービス「Tポイント」が、ドラッグストアで会員が買った医薬品の商品名をデータとして取得し、会員に十分な説明をしないまま販促活動などに使っていることがわかった。医薬品の購買履歴には、本人が他人に明らかにしたくない情報が含まれることが多い。
記事によれば、CCCは「購買履歴を取得することは会員規約で示している。」としていますが、個別具体的な同意を得ていない以上、まさか機微情報にあたる医薬品情報 *2 が収集されているとは考えなかった利用者も多いと思います *3
そもそも、医薬品販売業者が、利用者が買った医薬品名を第三者に漏らすことは、刑法に抵触する犯罪 *4 ですし、利用規約に書いてある、 ポイントプログラム参加企業における利用の履歴 が、まさか 購入した医薬品名を取得されること だとは思わなかったという利用者も多いと思われます。私自身にも、上記に掲げた理由から、 さすがに医薬品情報は収集から除外しているだろう という考えがありました。
その様な事情で、医薬品情報に限らず、 購入した商品名を提供する積りは無かったという利用者は、利用や第三者提供を拒否したいと考えるでしょうし、プライバシーマーク付与事業者は、本来、それに応じる義務がありますが 、開示ができない事情が冒頭に述べたような事情であるということは、それもできないという状況になっていると考えられます。
結果として、当該事業者は、 プライバシーマーク付与事業者としての責務を果たせない状況にあり、それが今現在も利用者のプライバシーを脅かす状況となっている 訳ですが、このことをプライバシーマークを付与しているJIPDECとしてはどのように考えているのでしょうか。

利用目的について:

よくわかるプライバシーマーク制度, JIPDEC, 2012 CCCは、T会員規約に「会員のライフスタイル分析のため」という利用目的を掲げていますが、この利用目的は、利用目的を十分に特定しているでしょうか。
法においても、JISにおいても、個人情報の利用目的は、「具体的に」定めることを要求しており、 収集しておけばいつか何かに使えるだろうという目的で個人情報を収集すること自体、法第十五条に違反する疑い *5 があります。
本来、個人情報の収集は具体的な目的があって行われ、具体的に目的があって収集された情報であれば、自ずから開示するシステムも構築されることになるはずです。
CCCの場合、まさに「マイニングすれば何か役に立つ情報を抽出できるかもしれない」という意図の下、開示体制も整備しないままに個人情報を収集していることが、今回の様な事態につながっているのではないかと考えます。
開示体制が整備できないのであれば、個人情報取扱事業者として不適格であり、個人情報を収集して取り扱う事自体、許されないのでは無いでしょうか。
*1: 「開示していない情報は、個人と結び付けられておらず、個人データにあたらない」という見解を示す可能性も考えていたので、「保有個人データであるが開示できない」という回答を得たことには、重要な意味があると考えています。
*2: 「一般用医薬品の商品名は機微情報にはあたらないのではないか」という解釈もある様ですが、これは、刑法の条文から考えて明らかに誤り。
*3: JIS Q 15001:2006 3.4.2.3 「特定の機微な個人情報の取得、利用及び提供の制限」 医療機関等、業務の性質上機微情報の取得が必要である場合は、インフォームドコンセントの様な「個別具体的な」同意が必要。
*4: 刑法134条(秘密漏示罪) 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
*5: 「マイニングすれば何か役に立つ情報を抽出できるかもしれない」等との意図の下、明確な利用目的を示さずに個人情報を取り扱うことは、法第15 条の違反となる可能性が高い。
スマートフォンプライバシーイニシアティブ(案), 利用者視点を踏まえたICT サービスに係る諸問題に関する研究会, スマートフォンを経由した利用者情報の取扱いに関するWG, 平成24年6月[http://www.soumu.go.jp/main_content/000166089.pdf]

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