2003年06月06日(金) << 前の日記 | 次の日記 >>
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■1 27自治体で住基とネットが“接続”長野審議会報告[http://www.st.ryukoku.ac.jp/%7Ekjm/security/memo/2003/06.html#20030602_juuki][地域情報化] このエントリーをはてなブックマークに追加

色々なところで話題になってるんですが、結論がどうこうというより、 本人確認情報保護審議会の資料[http://www.pref.nagano.jp/soumu/shichoson/jyukisys/singikai/dai6.htm] に出てくる発言が興味深かったので、この話題に注目していました。
以下、考えてきたことを整理してみます。 文章にするのは初めてで、まだまだ未完成な論理です。 どんどん手を入れると思いますし、議論をする積りはありませんが、 ご意見は嬉しいです。

私は、国と自治体の情報化は避けて通れない問題だと考えていますし、積極的に進めるべきだと考えていますが、やり方を間違えて進んでいるのではないかと心配しています。
方向を間違えなくてもやり方を間違えると、むしろ完成が遠のくのはシステム開発では常識的な意見だと思います。せっかく間違えたかも知れないと感じたのですから、立ち止まって考えてみる必要があると思うのです。「間違えたかも知れない」を無視すると後工程で必ず高く付くというのも常識的な意見だと思います。
グローバル化の流れの中で効率化と顧客満足の向上を同時に実現するという困難な課題を解決した企業は、この困難な日本経済の中にあって着実に成長を遂げています。情報通信技術の活用が、この課題の解決に大きな力となるのは間違いありません。 情報通信技術の活用が企業の趨勢を左右すると言っても過言ではないと考えます。
日本が国際社会の中で競争力を持ちつづけていくには、行政もより効率的で高度なサービスを提供していく必要があります。行政だけは非効率的な業務が許されるということは無い筈です。 従って、国や自治体においても情報通信技術を有効に活用し、より効率的で住民に対して高度なサービスを提供していくことは責務であると考えます。

電子自治体の構築は自治体の趨勢を左右する事業です。 構築に失敗すれば、自治体の将来が危うくなります。 職員は自分たちの自治体を改善していくために率先してより良いシステムを構築する立場に立たなければならないと考えます。
という状況の中で、

  • 99 %の自治体が独力で仕様書を作成することが出来ず,全て,或いは殆ど全てを,業者などに頼っていた
  • 仕様書は外部業者に委託し,セキュリティの確保も外部業者任せである.
  • 委託業者との保守契約に情報漏えい対策が明記されていない
  • その保守契約内容は業者に丸投げして作成してもらった。

という状況であるのは大いに問題であると考えます。

行政の発注システムの問題は以前から指摘されています。 政府調達はムダだらけIT関連の内部文書入手![http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/frame-biz.cgi?ID=158766&FORM=biztechnews] の記事の様な問題が様々なところで起こっています。
また、システム導入の成否は正しく評価されているでしょうか。 民間企業の場合、システム導入の成功は、計画当初の目的の達成という形で実感できます。導入の失敗は「当初の効率化あるいは業務改善が実現できない」「予想外の費用が掛かる」という形で経営に深刻な影響を与えます。

明確な要求あるいは要件定義がなされないままの発注は、

  • 初年度に採算を度外視した極端な安値で落札しても、後年度の随意契約において利益を確保できる可能性があること
  • 仮に利益が確保できないとしても、中央政府での落札実績が地方自治体における調達に有利に作用することが期待できること

という思惑から、安値落札を生み、

  • 開発途中の度重なる要件変更
  • 不適切なベンダーや技術の選択による非効率なIT 投資
  • 不透明な価格設定
  • 品質に対する信頼性の低下

が発生し、 「我が国のIT 化を担うソフトウェア産業の健全な発展を阻害し、ひいてはソフトウェア産業の国際的な競争力にも悪影響を与える」( 情報システムに係る政府調達の見直し[http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002255/] )ことになります。

この問題を解決するためには、究極的には自治体側職員のIスキルを上げていくことしかないと感じます。少なくとも自分たちがITによって何を実現しようとしているのかということを説明できて、受注者側が提案してきたものがその目的に合致しているかを評価できる必要があります。
土木や建設工事の発注については、自治体側で仕様書を作成している状況を考えれば、そうなっていないIT業界の現状は過渡的な姿なのかも知れません。
あるいはコンサルタントの活用( 政府調達のためのIT専門家について[http://www.meti.go.jp/feedback/data/i21227jj.html] )です。自治体内部に十分なスキルが蓄積されるまでは有望な方法だと思いますし、ある程度以上のスキルは内部に保有せずに、必要な時に外部から調達するというのも正しい方法かも知れません。
但し運用には注意が必要で、日本の特にIT業界においては、発注側に立ったコンサルタントというビジネスがなかなか成立していない状況に留意する必要があるでしょう。 受注側のコンサルタントが公平性を持って、システム導入計画の立案に協力してくれることを期待するのは難しい気がします。

どうしてこうなったか:

情報システムに関する政府調達専門家について[http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i21227lj.pdf] から引用。

こうした調達が常態化した要因としては、

  • これまで情報システムの用途が比較的特定されており、調査企画に多くの作業を要しなかったこと。
  • ハードウエアの付属品的な位置付けとしてソフトがサービスされており、ソフトウェアに関する企画・設計を別作業として契約するという習慣に乏しかったこと。
  • それぞれの業務に詳しい特定の大手ベンダーが市場に存在し、当該ベンダーが開発作業の一貫として上流工程を実質的に行ってしまっていたこと

などの経緯的な問題が影響している。

結果:

同じく、 情報システムに関する政府調達専門家について[http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i21227lj.pdf] から引用。 分かっている人は分かっているのです。
  • 発注仕様が不明確であるため、それまで当該府省の事情に通じていないベンダーにとっては、文書を読んだだけではIT 化すべき業務の全体像をつかむことができない。
  • 競争入札案件の公示がなされた後、応札日の一週間前程度になって初めて発注仕様が明らかにされる場合があり、その期間では、それまで当該府省の事情に通じていないベンダーにとっては到底提案書を作成できない。
  • システム全体の入替えを伴うような大規模な案件では、初年度の競争入札においてハードウエアを自社で調達できる大手ベンダーが到底競争できないような安値応札を頻繁に行うため、その後の随意契約も含めて資金力やハードウエア調達能力の乏しい中堅・中小ベンダーでは直接受注できない。

などの批判が見られる。
他方で、多くの中堅・中小ベンダーは、受注した大手ベンダーの下請企業として実質的に作業に関わっている場合が少なくなく、かつ、こうした企業が大手ベンダーによる安値落札のあおりを直接受けているとの指摘もある。

失敗したIT投資は失敗した箱モノよりタチが悪い:

オーソライズされた資料を見つけ出すことができませんでしたが、図書館や公民館等の箱モノを作った場合、以降の運用経費は、平均して初年度の建設等に要した額の3%程度であると言われています。 ところが、ITモノに関しては運用経費が初年度の購入費用の30%程度に達すると言われます。
確かに、コンピュータシステムはメンテナンスを抜きに考えられませんし、メンテナンスの行き届いていないシステムはすぐに使えないシステムになってしまいます。
従って、ダメなシステムを買ってしまうと、ダメな箱モノ作るよりも財政に与える影響は深刻です。仮に初年度の購入に関して国からの補助金を受けても、次年度以降の運用費用は自治体の負担となります。有効に活用できないシステムを導入するのは自治体の財政にとって大きなマイナスとなります。
有効に活用できるシステムを構築して、活用した分の投資を運用を通じてシステムに戻していくことによってシステムを成長させていくというサイクルが必要です。
「運用のためにシステムを作る」ということを決して忘れてはならないと思います。

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