1999年05月10日(月) << 前の日記 | 次の日記 >>
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■1色覚異常について このエントリーをはてなブックマークに追加

図書館で借りてきた本の中に色覚異常について扱っている本があって、考えさせられました。
世間では、「色盲」だとか「色弱」とかいう呼び方もするのですが、色の見え方が普通の人と違う人が、日本だと4.5%前後いるわけです。
症状にもよりますが、黒板に赤チョークで書いた字が見えにくかったりとか、そういう不自由があったりします。マージャンの赤牌が分かりにくかったりもします。が、本人はそれでさほど不自由を感じずに生活をしているというのが実情です。
人間の感覚というのは良くできているもので、色(色相)で区別がつきにくい代わりに、明度の変化に対して敏感になることも理由だと思われます。戦時中には色覚異常の人には迷彩服が通用しないという話もあったようです。
同じ視覚の問題で比較すると、近視の方がよほど不自由なのではないかという気がします。
近視と比べて不都合なのは、一般には治療法や矯正法がないという点です。遺伝的に少数派である色覚異常グループで生まれたら、ずっとそういう色覚で生きていかないと仕方がないわけです。
日本の場合、記憶されている方もいらっしゃるのではないかと思いますが、小中学校を通じて、色覚検査というのをやります。色の塗られた小さい丸が集まった図を見て、何が書いてあるか答えさせるという検査です。石原式と呼ばれています。
昔は、この試験に失敗すると「色覚異常」のスタンプを押されて、内申書にも書かれたりして、「君は色覚異常だから理系は止めておきなさい」等と指導を受けるようになっていました。
「色覚異常だから、色の判断ができないだろう」という思い込みで、
「指示薬の色を見分けられないだろうから化学系はだめ」とか、
「色が見分けられないだろうから、生物系はだめ」だとか、
「色彩感覚がないだろうから、デザイン系はだめ」だとか、
「色伝票が使えないだろうから、事務系はだめ」だとか、
「カラーディスプレイを使えないから、コンピューター系はだめ」だとか、
「色がわからない人は子供を教えられないだろうから、先生はだめ」だとか、
「患者の異変が分からないだろうから、看護婦・看護士・医師はだめ」だとか、
「薬の色を間違えるだろうから、薬剤師はだめ」だとか、
「信号が見分けられないだろうから、運転系はだめ」だとか、
「帽子の色が見分けられないだろうから、騎手はだめ」だとか、
とまぁ、ありとあらゆる進学や就職において、「色覚異常=色が分からない、だったら○○はできないだろう」という思い込みによって差別を行ってきたわけです。
これは、冗談でも誇張でもなくて、先の石原式検査に使う検査表では、「色弱色盲の者は肉体労働に就くのが良い」とまで言っていた訳です。
ところが、実際多くの色覚異常者は上記のような仕事の多くを、問題なくこなすことができるのが実情です。
色覚検査で少数派と判断された人の可能性を「できないだろう」「不自由だろう」という思い込みだけでつぶしてしまうわけですから、これはとても大きい差別です。
さらに、石原式検査にも問題があると指摘されています。石原式検査は非常に鋭敏な検査であり、色覚が不自由な人を探し出す検査としては、あまりにも感度が高い検査であることが指摘されています。
色の感覚が通常と違う人を見つけ出す検査としては、抜群の感度を誇っており、あの模様の中には、「色覚異常者には見える」というパターンまで含まれています。
つまり、色覚異常者が見に付けた明度の差に対する敏感な感覚を逆手にとって、通常の人には検知できないパターンを描いてあるわけです。
したがって、石原式検査で異常とされる人の多くは、一般生活でも上で例に挙げた職業の多くでも全く問題がない人なのです。
もちろん現在では、上記のようなことが認知されてきて、大半の学校では入学の制限がなくなりましたし、就職で差別されることも少なくなってきました。
しかしながら、就職指導や進学指導等で心無い不勉強な先生に「色弱だから医者は無理」「色覚異常があるから理系は無理」等と指導され、進路を変えざるを得なくなる例もままあるようです。
人の人生を左右する指導を、誤解と偏見に基づいて行うことは、許されないことだと思います。
色覚異常は遺伝子レベルの問題ですから、治療法はないと信じられてきましたが、最近、 「色盲・色弱は治る」との主張[http://www.wado.co.jp/indexN.html] もあるようです。治す必要がどうしてもある人は、藁にもすがるつもりで通うのだと思います。
この団体が出した書籍も読んでみました。PRのための出版ですから仕方がないのかも知れませんが、私としては、差別をあおり色覚異常者の不安を増すような書き方に抵抗を覚えます。色弱の子は性格形成に異常を来す話やコンピューター化が進むと色弱は社会から追放される話は、読んでいて辛くなりました。
しかしながら、この本の記述を信じれば治癒された例もあるようですから、本人にとっては喜ばしいことなのだと思います。よほどの事情とお金がある方が通われているのでしょうか。
それでも、なお、色覚異常者に対する差別を取り除く努力に意義はあると思います。
治療に通ってみたけれども治らない例[http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3475/] も存在するわけですから、「治すことができるのに治さないものが差別されても当たり前」という風潮になることを許してはならないと思います。
もしも完全に治すことができる方法が開発された暁には、保険適用等を考えるべきでしょう。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、私も色覚異常があります。程度としては以下の図が参考になるでしょうか。
下の文字は、本当に見えないものを配置したので、実は配置されていなかったりということがあるかもしれません。
どなたか、「読めた」とか「読めなかった」とかメールを頂けませんか?
色覚にハンディがあると見にくい配色の例
しかし、こういう配色は普通の方にとっても決して見やすい配色では無いように思います。便利なコンピューターやインターネットが新たな差別を作るのは悲しいことです。
ちょっと配慮していただければありがたいことだと思います。

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